ニューヨークを本拠地として、世界40ヶ国約180都市に19,000名以上のスタッフを擁する世界最大のマネジメント・コンサルティング会社である「マーサー (Mercer Ltd.)」が、外国人駐在員にとって最高の都市ランキング (2024年版) を発表しました。対象は5大陸、241都市。
■ベスト
2023年はオーストリアのウィーンがトップでしたが、今回はスイスのチューリッヒがトップの座を獲得しました。チューリッヒは質の高い公共サービス、低い犯罪率、活気のある文化生活、効率的なインフラにより、外国人居住者にとってもっとも理想的な都市と考えられました。
チューリッヒには40万人を超える外国人が居住していますが、特に住宅費や食費の面で、ウィーンよりも大幅に高い生活費がかかります。にもかかわらず第1位なのは、チューリッヒでは賃金も高いため、外国人居住者は良好な生活水準を維持することができるからです。
・1位:チューリッヒ (スイス)
・2位:ウィーン (オーストリア)
・3位:ジュネーブ (スイス)
・4位:コペンハーゲン (デンマーク)
・5位:オークランド (ニュージーランド)
・6位:アムステルダム (オランダ)
・7位:フランクフルト (ドイツ)
・8位:バンクーバー (カナダ)
・9位:ベルン (スイス)
・10位:バーゼル (スイス)
■ヨーロッパ
上記のとおり、ベスト10のうち8つはヨーロッパの都市です。その他の都市もストックホルム18位、リスボン27位など。シュトゥットガルトは前年比でもっとも順位を落とし、20位下がって46位となりました。
■中央アジア
中央アジアの主要都市もランキングに含まれています。結果は次のとおり。
・179位:アルマトイ (カザフスタン)
・186位:アスタナ (カザフスタン)
・200位:タシケント (ウズベキスタン)
・212位:ビシュケク (キルギス)
・216位:ドゥシャンベ (タジキスタン)
・222位:アシガバート (トルクメニスタン)
■ワースト
241都市の中で、駐在員にとって最悪の都市の多くがアフリカと中東に位置し、最下位はハルツーム (スーダン) となりました。最下位グループは、バグダッド (イラク)、バンギ (中央アフリカ共和国)、サナア (イエメン)、ポルトープランス (ハイチ) など。
* * *
以上です。中央アジアは軒並み最低グループに近い低順位でした。東南アジアの後ウズベキスタンに来た身としては、インドネシア、タイとはまた違った意味で快適な暮らしができている実感があるので、これはかなり意外でした。
こうなると審査員が単なるヨーロッパ好き (スイス好き) という気がしないでもありません (スイスは4都市がベスト10にランクイン!)。そもそもの視点が欧米人というか西側諸国の白人キリスト教徒の目線なのかも。
だとすると、旧ソ連諸国かつイスラムを国教としている国は、自ずと評価が低くなりそう。ぼんやり悪いイメージというか、なんだか得体の知れない、独裁的な政治体制で宗教ガチガチの人権無視国家といった、そんな偏見を持たれているのではないかなと。
本当に、タシケントの生活はまったくそんなことはなくて、犯罪は少ないし人は親切だし、ご飯は美味しいしはっきりした季節があるし (夏暑く冬寒いけれど)、ネット規制はあるものの普通の使い方なら快適だし、タクシー・バス・地下鉄は安くて便利だし、何も言うことないんですけどね。
どんな国でも闇の部分 (政府の弾圧だとか国民の貧困格差だとか) があることは否定しませんが、タシケントは外国人が健全な生活を送っているのであれば、そんな闇に接する場面は皆無だと思います。外国人にはそこまで見えませんからね、普通。
タシケントの写真12枚
タシケントがどんな町なのかイメージしてもらえそうな写真をピックアップしました。ご覧のとおり都会的な町並みであり、水辺の風景も多く、15~16世紀のイスラム建築が残っていたり、1970年代のソビエトモダニズム建築が実はたくさんあったり。
ウズベキスタンのご飯は美味しく (油・脂多めだけれど)、伝統的なバザールから近代的なショッピングモールまであって生活必需品は十分そろうし交通も便利、娯楽はバレエやオペラの観劇などが敷居も低くおすすめです。
夏は気温40℃に達しますが、どんな建物にも基本エアコンがあるので問題なし (時々停電もありますが)。冬は最低気温-20℃と極寒の日もありますが、住宅は暖房完備なので室内はむしろ暑いくらいです (暖房が止まることもないわけではないそう)。
ということで、タシケントが241都市中200位というのは、やっぱり納得いかないなあ。
■テレビ塔から見渡すタシケント市
■日本庭園の池とテレビ塔
■アミール・ティムール広場
■ハズラティ・イマーム・コンプレックス
■タシケント・メトロ (コスモナフトラル駅)
■ベシュカザン (中央アジアプロフセンター)
■チョルスーバザール
■ショッピングセンター (サマルカンド・ダルボザ)
■町並み (市バスなど)
■マジックシティ
■バレエ@ナヴォイ劇場
■雪 (2024年3月14日)