A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

蜂蜜王国の王様:ヤントクハニー

ウズベキスタンの荒野に力強く根を張る植物「ヤントク (Yantoq)」。学名:Alhagi pseudalhagi、一般的には Camelthorn や Manna Tree と呼ばれます。

Alhagi (アルハジ/アルハギ) はアラビア語のアルハッジ (Al-Hajj)=メッカ巡礼を終えた人、に由来した名前だそうです。

マメ科の多年生植物で、北アフリカからアジアにかけて、4種類の Alhagi が草原、砂漠、半砂漠の各地域で見られます。

高耐塩性があり塩害土壌でも育ち、また根は2m以上の深さに伸びるとともに全方向に8~15m伸びるため、降雨が少ない乾燥地帯でも成長することができます。

Camelthorn (ラクダの棘) の名のとおり爪楊枝のような鋭い棘を持ちますが、これを家畜がよく食べるため、放牧シーズンだけでなく、冬場の飼料としても貴重な植物です。

5~6月にきれいな花をつけ、また10月には茎と葉から甘い液体を分泌します。これが良い蜂蜜を生み出すため、ヤントクハニーは昔から優良な蜂蜜として知られてきました。

ヤントクは薬用 (呼吸器系・消化器系の病気対策)、干し草、蜂蜜作りに有用なだけでなく、乾燥地の防風 (砂の固定)、また燃料や建築資材としても利用されます。

特に家畜の過放牧や土壌の塩性化の影響を受け、荒れ地になってしまった草原・牧草地が広がるウズベキスタンでは、土地の管理・再生のため広く活用されています。

* * *

ヤントクハニー (Yantoq Asali) は一度食べてみたかったのですが、スーパーマーケットの蜂蜜コーナーをほうぼう見て回ったものの、これまでぜんぜん見つけられず。

なので期待を抱きつつ訪れた、ウズベキスタン蜂蜜フェア。ヤントクハニーはほどなく見つかり、ウキウキしながら1キロパックをふたつ買って帰りました (⇒コチラ)。

会場で試食はしましたが、家に帰って改めて実食。ネットリ甘くほど良い蜂蜜の香りもあって、1キロ5万スム/600円にしては大当たりだなと、顔がほころびました。

その日の午後、やることもなかったのでもう一度蜂蜜フェアへ。こんどは会場をぶらぶらしながら、じっくり落ちついて蜂蜜を見て回りました。

すると、朝は気がつかなかったのが不思議なくらい、いろいろなブースでヤントクハニーが売られているのでした。

同じヤントクハニーでも色の違いが見て取れたので、朝とは別のブースで聞いてみると、1キロ5万スム/600円、6万スム/720円、7万スム/840円と3種類ありました。

店主に促されそれぞれ試食してみると、たしかに味に違いがあります。良い悪いは正直わからなかったので、とりあえず一番高いやつを1キロ購入 (840円)。

家に戻って朝買ったヤントクハニー (1キロ600円) と食べくらべてみると、色と香りはほぼ同じでしたが、甘さはけっこう違うかも。

午後買った高い方は、ひと舐めすると眉間にしわが寄るほど激甘でした。高いからその分甘いのかな。うーん、わからない。でもどちらも美味しいです、ホント。

これから毎日少しずつ食べよう。風邪 (咳・扁桃炎・喘息) と消化器系に効くそうなので、この冬はヤントクハニーで乗り切ろうと思います。

なお、ヤントクは地元の人々から「草原のバラ (Steppe Rose)」と呼ばれ、その蜂蜜は「蜂蜜王国の王様 (King of the Honey Kingdom)」と呼ばれているそうです。