ウズベキスタンには本場中国の中華料理もあれば、新疆ウイグルの中華料理 (イスラム教徒向けのハラール中華、清真料理 、ドゥンガン料理) もあります。
ウイグル中華は麺料理がたくさんある印象ですが、メニューはパッと見、中国中華 (変な言い方ですが・・) とさほど変わりません。
どちらも餃子は定番メニューですが、ウイグル中華のお店は、少しだけウズベキスタンに引っ張られているような気がして、ちょっと面白いなと。
ウズベキスタンで餃子に相当するものと言えば「マンティ」です。大ぶりの蒸し餃子で、具材は羊肉がメインで他にもジャガイモ、カボチャ、ほうれん草など多彩。
形 (生地の閉じ方) は写真のものが一般的です。もともとレシピに統一感のあるウズベキスタン料理ですが、マンティも同様で、本当にどのお店も変わりません。
さて、ウズベキスタンの中国中華のお店でいただく餃子は、これはもう見た目は普通です。日本のものより少し皮が厚く、水餃子が基本ではありますが、形は違和感なし。
写真はタシケントの「天津飯店」と「ハルビン」の餃子。豚肉ではありませんが、普通に美味しいです。ちなみに餃子=水餃子で、焼き餃子は滅多にありません。
日本の餃子のようにひだはありません。バンコクの中華料理屋もひだなしでしたから (下の写真)、中国の餃子はきっとそうなのでしょう。もともと皮が厚いですからね、ひだで厚みが増すと食感が悪くなるのかも。
では、ウイグル中華の餃子はどうかというと、まずは写真をみていただきましょう。「中華牛肉麺」ははっきりウイグル中華、「チャイナアリーナ」と「トゥーランドット」はモダン中華だそうですが、明らかにウイグルに寄せています。
まず形が小ぶりでひとくち餃子のサイズ (1人前20個くらい)。そして生地の閉じ方はまさにマンティと同じ。上辺の中央で合わせ、麦の穂のようなきれいな模様に。
両地域の特性が出ているようで面白いですね。中華料理はなんというか美味しければそれで良く、見た目は関係ない (味が同じなら無駄な労力は省く)、みたいな。
ウズベキスタンはそこに美的感覚が入るような気がします。見た目も味のうちというか、同じ味ならきれいなものが食べたいという、なんとも優雅な心持ちです。
そんなところも、ウズベキスタン料理が日本人の嗜好に合う理由のひとつなのかもしれません。
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他にも餃子系のウズベキスタン料理は、チュチュワラ (雲呑/普通はスープ)、ジュババ (水餃子にラグマンのスープをかけたもの)、トゥフムバラク (卵液を封入した水餃子) などがあります。
ちなみに、揚げマンティは蒸し以上に美味しいけれど、揚げチュチュワラはあまり美味しくないんですよね。まあ個人の好みですが。