タイトルに「食べくらべ」と書きましたが、実際には4店でしか食べていないので、ちょっとサンプルが少なすぎるなと。まあでもこれには理由も。
タシケントでプロフと言えば、一番人気は「トイオシュ」。店頭の看板やメニュー表に「オシュ (Osh)」とだけ書かれていたら、それはほとんどトイオシュのことです。
「トイ (To'y)=結婚式」、つまり結婚式などおめでたい日に食べるのにふさわしい、華やかなプロフです。実際には冠婚葬祭のどんなイベントも、トイオシュでOK。
また、友人や同僚との会食など、普段の食事 (外食) でもトイオシュはもっとも無難かつ間違いのない選択肢です。需要があるので、その分トイオシュのお店もたくさん。
もうひとつ、タシケントでよく聞くのが「チャイハナオシュ」。「チャイハナ (Choyxona)=茶屋、軽食堂」で出されるような、気取らない庶民的なプロフです。
特別な日はトイオシュで、普段はチャイハナオシュを食べている、などという区分けを欧米ブロガーのコラムなどでよく見かけます。
だったらトイオシュと同じくらい、チャイハナオシュもタシケントの町中で食べられるはずだと、ついそう思ってしまいますよね。
しかし実際には、意外とチャイハナオシュは見つかりません。今回紹介するのはわずか4店ですが、これでもけっこう探した上で、ようやくといった数字です。
あと3店見つけてはいるのですが (メニューには載っている)、そのうち2店を訪れた時は無いと言われました。たぶん時間帯とか、ひょっとして曜日とか。一応マップ情報だけ:Art Plov、Mar Mar、Nomdor。
もしかしたらチャイハナオシュは家で作って食べるものなのかな (だからお店は少ないのかな) と思ったりもしますが、まあ真相はさておき、とりあえず今回は第一弾ということで。
あ、その前に、チャイハナオシュの特徴を。それはズバリ、羊のクセが強いこと。中東時代に普段から羊肉を食べていた自分でも、なかなかの強烈さだと思います。
羊肉に苦手意識がある人だと、チャイハナオシュはまず羊の「におい」にやられてしまうでしょう。自分は「匂い」だと思っていますが、人によっては「臭い」ですから。
レシピ動画を観てみたら、ラードのようにまず羊の脂身を溶かして、調理に必要な油を準備していました。これは羊臭満載なわけだ。
ちなみに油が出きった脂身はサクッとした脂カスになるのだと思います。これもチャイハナオシュのトッピングにしますが、これがまたいいアクセントに。
あとは唐辛子も一緒に炊くので、少しピリ辛です。揚げニンニク (の皮をむいたやつ) も載っています。なのでトイオシュより全体的にパンチ力強め。
■ベシュカザン (Map)
言わずと知れた「中央アジアプロフセンター」。初めて食べるならトイオシュがベストチョイスですが、一度チャイハナオシュも食べていただきたいです。
トイオシュとくらべたら格段に羊のクセが強く、羊の脂のにおいは鮮烈。食べているうちにだんだん慣れてどんどん好きになるか、あるいは一度で懲りごりか、大きく分かれそう。
クセが強いと言いつつも、きっとこれが王道のチャイハナオシュなのだろうと思えるような、シンプルかつ威風堂々とした一皿。これは正面から受け止める他ありません。
大釜 (カザン) での調理は必見、もはやタシケント観光のハイライトです。我こそは羊好きという方、ぜひチャイハナオシュを。(40,000スム/480円、写真はコンプレクト=トッピング全部載せ55,000スム/660円)
■プロフシティ (Map)
ここのトイオシュはかなり重めの味わいでしたが、チャイハナオシュもなかなかのこってり具合。揚げた羊肉もたくさん載っていて、38,000スムの価値大いにあり (写真は全部載せ 50,000スム/600円)。
脂カスが多めに載っていて、これが香ばしくサクサクで嗅覚と食感に変化をもたらしてくれるため、最後まで飽きずにいただくことができました。
食べごたえ抜群で、ウズベキスタン人なら誰にでもウケる味・内容だと思います。ちなみに全部載せはカジー (馬肉の腸詰め)、ドルマ (ぶどうの葉包み)、うずらの卵が定番。
■カモロン Osh Markazi (Map)
プロフ4種盛りがあるラブザク店ではなく、ドルジュバ店でいただきました。ここはトイオシュもそうですが、お米がかなりかための炊きあがりです。
お米の口当たりはシャープで、多分その方がウズベキスタン人好みなのだと思いますが、日本人が思うかための炊きあがりの、もう一段上のかたさ。
38,000スムにしては揚げた羊肉がたっぷりでこちらも噛みごたえがあり、一皿食べ終わる頃には尋常ではないくらいあごが疲れました (写真は全部載せ 49,500スム/594円)。
羊の脂が強いのは他店と同じですが、ここは絶妙にひと味足されているような気がします。味付けご飯的な美味しさがあるというか。
お米とお肉をどちらもしっかり噛んで食べて、噛めば噛むほど旨味がジュワッと口内に広がりました。もう少しお米が柔らかければと、思わなくもありませんが。
味は一番好きですが、食べるとあごが相当疲れます。プロフ好きで気心の知れた友人を連れて行くならベストなお店かなと。
■カモロン Milliy Taomlar (Map)
今回の中では一番安価 (32,000スム)。ただし写真でもわかるとおり、明らかにお肉が少ないです。自分はプロフならお米が食べたいので、これはこれでOK。
チャイハナオシュ (メニュー上は "チャイハナパロフ") にしては羊臭はマイルド。初めての人でもさほど違和感なく食べられそうですが、慣れている人には物足りないかも。
「ここ美味しいからぜひ行きましょう」と誰かを誘うほどの味ではないのですが、構えず気楽に食べられるので、自分1人だったらあえてここに来るのもありだなと。
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■総評
・客人と行くなら:ベシュカザン
・知人と行くなら:プロフシティ
・友人と行くなら:カモロン Osh Markazi
・一人で行くなら:カモロン Milliy Taomlar
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(※タシケントはこの1年で物もご飯もずいぶん値上がりしました、プロフも過去記事とくらべて1~2割高くなっています、ブログに料理の値段を載せるのも考えものだなと)