海外で年単位で生活すると、よほど日本食 (和食) を意識して自炊する人でない限り、当然その食生活は現地寄りのものになるでしょう (参考:自分は何を食べてきたのか)。
イスラム圏では豚肉やアルコール (調味料含む) など、そもそも手に入らないものが多いですが、東南アジアでは日本食材を扱うスーパーマーケットもあります。
ただ、自分はバンコクでもジャカルタでも、数多ある日本食レストランにはほとんど目もくれず、この時だけとばかりにローカルフードを満喫しました。
なので住む国を変えるたび、自分の舌も現地の味に馴染み、それまでに培われた食的嗜好がどこかおかしくなるようです。
実は今まではそれほど変化も感じず、日本に帰れば相変わらず何を食べても美味しいと思っていました。ところが今回、いくつか大きな違和感が。
■辛味に激弱
もともと辛いものは好きでしたが、インドネシアとタイの生活でさらに辛いものに強くなりました。
レトルトカレーの LEE も20倍なら普通に美味しくいただけるくらいのレベル。30倍もなんとか。期間限定発売された40倍はギブアップしましたが。
ウズベキスタン料理は辛くありません。本当に、まったく辛くないです。言ってみれば日本食と同程度 (調味料でたまに唐辛子といった感じ)。
タイであれだけ強くなった辛味ですが (⇒コチラ)、帰国前に Amazon のセールで買っておいた日清のとんがらし麺が、辛くて食べられませんでした。
以前はとんがらし麺なんて唇がちょっとヒリヒリするくらいの適度な辛さだったのに (なのでセールの時によく買っていました)、今回は舌がビリビリ痛くて。。
これはかなりショックでした。箱で買ってしまったので全部食べないといけないし。3つめくらいで感じる辛さは多少減りましたが、スープはなかなか飲みきれず。
ということで、食べきれなかったものはウズベキスタンに持ってきました (リュックに入れて)。冬になったら食べよう (参考:辛活 in タシケント その1、その2)。
■塩気に辟易
外食は自炊にくらべ料理がしょっぱい (塩気が強い・味が濃い) ということは昔から言われていることだと思います。
これまでは日本で外食してもそこまでとは思いませんでしたが、今回ウズベキスタンから戻ってあれこれ食べてみると、ちょっとびっくりするくらいどれもしょっぱかったです。
ウズベキスタンの生活では自炊と外食が半々です。自分の自炊にくらべたら、ウズベキスタン料理は塩気が強いものもあるなと、そう思う時もあります。
けれどもプロフやラグマン、シャシリクやサムサなど普段よく食べるものは、塩気は弱め。全体としてはだいぶ塩分控えめな食生活だと思います。
そんな生活を続けていたせいか、日本の食事はどれも料理がしょっぱく感じました。何度も行っているお店でも、「前からこんなにしょっぱかった?」と思いました。
そうは言ってもせっかく日本にいるわけですから、多少味が濃かったとしても、かまわず外食は続けましたけどね。
「くそー、しょっぱいなー」と心のなかでつぶやきながら、ラーメンとかお蕎麦をすすっていたわけです。だったら外食しなきゃいいのにね、自分。。
ちなみに、最後に品川駅でいただいた立ち食い蕎麦が前回 (冬) 食べたときの倍くらいしょっぱかったです。調理担当がレシピを間違ったのではないかと勘ぐるほど。
実際のところどうなんでしょう。自分の舌のせいか、お店の分量間違いか、それとも大量に汗をかく人が多い夏用のサービスなのか。。
■かん水に敏感
ラーメンの麺といえばかん水を使って練るのが特徴。かん水を使うからこそ独特のコシや風味が出るわけです。
かん水を使った「黄色い麺」からはわりとにおい (かん水臭さ) を感じることがあります。中にはアンモニア臭などと言う人も。
このにおい、自分はけっして嫌いというわけではなく、好きかと聞かれたらあれですが、「ラーメンぽいな」とは思います。においもまったくなければ寂しいというか。
タイラーメンの麺はあまりにおいは意識しませんでした。1杯の量が少ないこともあるかもしれませんが。細麺でプツプツと歯切れのよいものが多く、どのお店も出来は良かったと思います。
バンコクにあった香港ヌードルのお店の麺は独特のにおいが強く、でもそれは香港で食べた本場の味を思い出すなど、むしろ好印象でした。
ウズベキスタンで食べる中国ラーメンやラグマンは、麺の色も白いし、においについては小麦粉のいい香りしかしません。かん水を使っているのかもわかりません。
これまで日本でラーメンを食べて、麺が臭いと思ったことは、うーん、本当にだいぶ昔のことのように思います。
今回、日本で3回ラーメンをいただきましたが、そのうちの1回、2年前に一度食べて美味しかったと記憶しているお店に行き、久しぶりにいただきました。
すると、最初に麺を口に入れた段階で、ムワッとする独特のにおいに驚かされました。久しぶりにはっきりこのにおいを嗅いだなと。前回はそこまで思わなかったのに。
良いか悪いかではなく、ラーメンはこれだよなと、そんな感じ。ただ、ウズベキスタンで自然な風味の麺ばかり食べていたので、ちょっと驚いただけ。
■甘味を許容
昔、地元で評判の「なすソバ」を食べた時、スープがあまりに甘くて目が点になったことがありました。
「日本食は甘い」 海外とくらべたらこれが一番わかりやすいポイントかもしれません。日本食はとにかく砂糖 (みりん) をたくさん使います。
日本人は料理や食材の甘味を礼賛しすぎなような気もします。カツ丼もうなぎもお寿司もすき焼きも、甘い (甘しょっぱい) からこそ美味しいと感じるのは自分もそうですが。
ただ、件のなすソバはベースがラーメンなので、「甘いラーメンスープ」は当時の自身のデータベースにはなく、なんとも許容しがたかったんです。
そんな自分も、タイで暮らした数年間で料理の一皿における「甘い・辛い・酸っぱい」の許容度が飛躍的に上がりました。
タイ料理は味が濃いですからね。塩気が強いのではなく、砂糖と唐辛子と酸っぱいのがとにかく濃い。時にどぎついほど。でも慣れるとそれが実に美味しいんです。
逆にタイラーメンのスープは薄味が多く、代わりにテーブル調味料セット (砂糖、ナンプラー、唐辛子、唐辛子酢他) で味付けしながらいただきました。
テーブル調味料はどのお店にもあり、タイラーメンやチャーハンに砂糖をかけて食べている人を見たことも多く、そういう食べ方もあるんだなと次第に受け入れることができました。
そんな経験を経ているので、もし今またなすソバを食べたら、今度は美味しいと感じるかも、などと考え、十数年ぶりにお店を訪問したわけです。
結論から言うと、昔ほど拒否反応はありませんでした。手放しで美味しいとは思いませんが、これもまたひとつの正解なんだなと理解。きっとタイ人は大好きな味。
なお、タイ帰国直後だったらもっと美味しく感じたかもしれません。ウズベキスタン料理は砂糖もほとんど使わないので、また料理の甘さに少し敏感になっていたかも。
今回は親子丼も普通の甘辛ダレより塩味の方が美味しいかもと思いました。(下の写真向かって左:甘辛ダレ、右:塩ダレ、写真ではぜんぜん伝わりませんが)
※最後は「好きだったけど苦手になった」という主旨からは逸れました。