A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

タイ vs. ウズベキスタン:ダンプリング対決

美食からB級グルメまであらゆる料理が氾濫する、東南アジア随一のグルメシティ、バンコク。

くらべるのは中央アジア、ウズベキスタンの首都タシケント。世界的知名度は圧倒的にバンコクに軍配でしょう。

タシケントにはイスラムという宗教縛りもあり、バンコクにくらべたら使える食材・調味料も制限されます。

では、グルメ対決ならバンコクの圧勝で、タシケントの圧倒的敗北かと言ったら、意外とそんなこともありません。

今回はダンプリング (餃子・雲呑・小籠包・肉まんなど) で比較してみます。タシケントの善戦ぶりがわかってもらえるのではないでしょうか。

焼餃子 vs. クンマンドゥ

バンコクの中華料理屋では餃子も定番メニューです。どちらかと言うと水餃子の方がデフォルトかと思いますが、たいていのお店は焼きもあります。

お肉はメニューに何も書いてなければ豚肉がスタンダード。牛肉の場合はあえてそのように書いてあると思います。

自分は水餃子が好きなので、バンコクの中華料理屋では普通の焼餃子はほとんど食べませんでした (羽根つき餃子を除く)。(写真:東来順)

タシケントも中華料理屋に餃子はつきものですが、しかしほとんどは水餃子です。少なくとも自分は中華料理屋で焼餃子を見たことはありません。

代わりに食べのが韓国料理屋のもの。なので焼餃子というよりはクンマンドゥですね。お肉も鶏肉ですが、あるだけありがたいです。(写真:アルファ)

羽根つき餃子対決

バンコクの中華料理屋では羽根つき餃子もよく見かけました。中華オリジナルというよりは、おらそく日本からの影響なのかなと思います。

羽根をつけても餃子そのものの味は変わらないのでしょうが、なんだかワクワクしますよね。その分、味もプラスアルファな気がします。(写真:大連飯店)

タシケントでは、自分の知る限り「ふる里」(日本料理屋) でしか羽根つき餃子は食べられないと思います。本当に貴重。牛肉なので味わいは異なりますけどね。

水餃子対決

バンコクの中華料理屋では数え切れないほど水餃子をいただきました。ほとんどは豚肉で、白菜かニラかも選べるお店が多かったです。

どのお店も美味しかったですが、そんな中でも、薄めの皮、肉汁の閉じ込め、豚肉と白菜のバランスなどから「東来順」は最高でした。(写真:東来順)

タシケントも水餃子ならあちこちの中華料理屋にあります。基本、牛肉ですが、肉質がいいので豚肉餃子に劣らない美味しさはあると思います。

醤油ダレや黒酢で食べることは少なく、各店ともだいたいピリ辛の麻辣ダレでした。これがかすかに残る牛肉のクセも消してくれ、とても美味でした。(写真:中華牛肉麺)

雲呑スープ vs. チュチュワラ

バンコクで雲呑と言えば、タイラーメンに載ったもの (雲呑麺) を一番食べましたが、もちろん単体 (雲呑スープ) でもいただきました。

豚肉の雲呑も多かったですが、単体で雲呑スープとして出されるメニューは海老が多かったように思います。もちろん美味しくないわけがありません。(写真:タンジャイヤーン)

中央アジアの雲呑がチュチュワラ (ロシア語ではペリメニ)。お皿に盛り付けるパターンもあるようですが、普通はスープで出されることがほとんど。

皮は厚めでモチモチ食感が美味しいです。ただ、ウズベキスタンは全般的に料理の塩気が強く、何度かいただいたチュチュワラスープは、どれもちょっとしょっぱかったです。(写真:ブハラカフェ)

雲呑 vs. ジュババ

バンコクでは雲呑を単体で食べたことはほとんどありません。茹で上げたものをお皿に盛り付けたものはありますが、そこに何かソースやトッピングをかけたものは、自分は食べたことがないです。(写真:デーン)

タシケントにはチュチュワラの派生料理でジュババ (Juvava) というものがあります。茹でたチュチュワラ (多少形は異なります) にラグマンのスープをかけたものです。

タイの雲呑単体とくらべるのは違うかもしれませんが、もちろんこれはジュババの勝ち。チュチュワラとスープの複合的な美味しさ。(写真:カラサライラグマン)

揚げ雲呑 vs. 揚げチュチュワラ

バンコクの黄金仏 (@ワット・トライミット) のすぐ近くにあるお店、トローク・ローン・ムーはトムヤムヌードルとともに揚げ雲呑が大人気です。

揚げたての雲呑には豚ミンチがパンパンに詰まっていて、ひと口がぶりと頬張ると香ばしい皮がパリッと破れ、熱々の肉汁が口の中にあふれます。

あまりに熱くて涙目になりつつも、その美味しさに思わず頬がゆるんでしまうという逸品。

タシケントからは揚げチュチュワラ。もともと皮が厚いので、それを揚げると食感はカリカリでもなくサクサクでもなく、かなりモッサリ。正直イマイチです。

お肉も牛肉なのでけっこうしつこめの味わい (良く言えばコクがある)。お醤油よりも、スイートチリソースがよく合います。(写真:サルドバ)

小籠包 vs. マンティ vs. ヒンカリ

バンコクは小籠包が充実しています。ローカルなタイ中華の食堂から、本場の台湾や香港のチェーン店まで、いろいろなお店で小籠包もよりどりみどり。

自分もあちこちでいただきましたが、さすが、鼎泰豊 (ディンタイフォン) や王家沙 (ワンジャーシャー) は美味しかったですね。

でもここであげるのはローカルのお店にします。永和豆漿 (ヨンヘドゥージャン)。比較的大粒で、あふれる肉汁が本当に美味しかった。

タシケントからの対抗馬はマンティ。小籠包と言うよりは蒸し餃子かもしれませんが、うまく蒸し上がったマンティはもう肉汁たっぷり、素晴らしく美味しいです。

これで豚肉ならもっとアジアっぽいんだろうなと、いつもつい想像してしまいますが、羊肉のマンティにヨーグルトをつけて食べるのも、悠久なるシルクロードを感じてまた美味しいんですよね。(写真:マンドゥ)

マンティの具材は肉以外にもいろいろあります。下のセットは羊、牛、低脂肪肉、かぼちゃ、じゃがいも、ほうれん草。真ん中はヨーグルトソース。(写真:マンドゥ)

タシケントにはジョージア料理店もいくつかあります。ジョージアといえば名物料理ヒンカリ。自分も一度食べに行きました。

小籠包以上に肉汁たっぷりで、絞ったところを手に持ってひと口かぶりついたら、当然のようにこぼれた肉汁で手を火傷しそうになりました。でも美味しかったな。(写真:ガマルジョバ)

焼き小龍包 vs. 揚げマンティ vs. 揚げヒンカリ

バンコクでは揚げた小籠包は食べたことがないので、代わりに焼き小籠包を。正確には上海生煎という料理で、小さめの中華まんの下側だけ焼いてあるもの。

下はカリカリ、上はモッチリ、一粒で二度美味しいとはこのことです。慎重にかぶりつかないと熱々の肉汁がほとばしるので注意が必要。この焼き小龍包の美味しさにはすこぶる感動しました。(写真:紅燈籠)

タシケントのレストランでは蒸したマンティとともに揚げマンティもメニューに併記されているお店は多いのですが、意外とやっていない所が多いです。

自分も何店かで空振りし、ようやくありつけたのが下のお店。味は想像どおりと言えばそうなのですが、蒸したものより香ばしさと油のコクが加わってさらに美味でした。

お肉は羊なので日本人にはとっつきにくいかもしれませんが、このコクと風味が羊肉好きにはたまりません。(写真:ショホナ)。

こちらもタシケントのジョージア料理店ガマルジョバ。個人的には揚げもの大好きなので、ヒンカリも揚げた方が美味しく感じました。もちろん肉汁ドバー。

餡餅 vs. ホシャン

中華料理の餡餅 (シャーピン) なるものをバンコクで初めていただきました。焼いた (揚げた) 肉まんといった料理ですが、無限に湧き出るような肉汁が実に美味しかったです。素直に感動しました。(写真:永和豆漿)

タシケントからはホシャンを。これは一度蒸し上げた肉まん (具材は羊肉) を、さらに揚げたものです。手が込んでいますね。

香ばしさと油の旨味がプラスされ、素晴らしく美味しかったです。自分でもいつか肉まんを揚げて作ってみようかなと考えています。(写真:ホシャン)

なお、グンマは揚げパンの分類かと思うので、今回の対決からは除外。

カレーパフ vs. チェブレク

エンパナーダ系の対決として、バンコクからは、フアランポーン駅の南側、ジャルンクルン通り Soi 22 の少し奥まったところにあるプー・カレーパフという繁盛店のカレーパフ (カリーパフ) を。

店内では6、7人でひたすらカレーパフを作っていますが、何箱も箱買いする人が多く、作った側からどんどんなくなっていく様は圧巻でした。

皮は厚めでサクサク・カリカリ、具材はカレー風味のジャガイモがメインで、他にスイーツ系もありした。揚げたては殊の外美味しいです。

対するタシケントは、チェブレク (チェブレキ)。薄い皮がプックリ膨れるように揚げるのが腕の見せ所です。見た目は大きいですがほぼ空気なので食べるのもあっという間。

中身は羊肉やチーズ、トマトなどいろいろあります。塩気も油気もやや多めですが、寒い冬の日に食べると最高に美味しいです。(写真:チェブレーシカ)

サモサ

タイ料理にはサモサに似たようなものがないので (自分は食べたことがないので)、バンコクのインド料理屋で食べたサモサの写真を載せようと思ったのですが、写真にも撮っていませんでした。。

タシケントのサムサ (ソムサ) は窯の内側に貼り付けて焼いたものがメインですが、形はひと口大のものから手のひら大のものまで様々。

具材もバリエーション豊富で、羊肉の他にもジャガイモやカボチャ、ホウレン草のサムサなども。(写真上:ノモドール、写真下:ミノールサムサ)

点心

バンコクでは何度点心 (飲茶) に行ったか覚えていませんが、モールの中級店から下町の大衆食堂まで、どこで食べても値段なりに満足できました。

写真はBTSサパーンタクシン駅の南側エリアにある Tuang Dim Sum という人気店。昼近くは順番待ちがひどいので、週末の朝早くから出かけたものです。

タシケントにも点心はあるようですが、まだ未開拓です。

おまけ

Wikipediaによれば、粽 (ちまき) もダンプリングに含まれるそうです。タシケントには比較するものはないので、バンコクの粽を。

上が蓮の葉で包んだカオホーバイブア (@ルンチュー)、下 (3枚目) がパンダナスの葉で包んだバチャーン (@リトルメイ/小梅)。

あとWikiには春巻きもダンプリングだと。タシケントでは食べたことがないので、バンコクのものを。普通の春巻きでは芸がないので、ここではホジョーをあげます。

ホイジョーは芋などのすり身に蟹の身が入った揚げ春巻きのような料理です。魚や肉のホイジョーもあるようで、正確には蟹のホイジョー=ホイジョープーです。

皮は湯葉。旨味たっぷりでコショウがピリッと効いています。蟹の身の割合はお店によって違いますが、単純に値段に比例する感じです。

米粉の皮で包んだパクモーは春巻きの仲間で良いのかな。もしくは米粉の雲呑かも。中に入れる具材は様々。

* * *

ということで、バンコクとタシケントをザッと比較してみました。もちろんお店の数はバンコクの方が圧倒的ですが、タシケントもひととおりのものは揃っています。

バンコクで4年暮らし、続いてウズベキスタンに来ましたが (現在1年半ほど滞在)、豚肉がなく代わりに羊肉または牛肉という点も、意外とすぐに慣れました。

ただし、バンコクのエビ雲呑のあの美味しさだけは、タシケントでは望むべくもありません。二重内陸国ということをことさら実感してしまいますね。