ウズベキスタン料理は脂肪分が多く、中でもドゥンバ (Dumba) と呼ばれる羊の尾の脂肪が好まれています (多くの場合カラクル種 ⇒過去記事)。
ドゥンバはウズベキスタン料理を語る上で欠かせない食材であり、ラグマンやプロフなどさまざまな国民料理に使用されてきました。
近代になってからは、ウズベキスタンはソ連統治下で綿花の大規模な栽培国となり、その結果、料理には綿実油がたくさん使用されるようになりました。
ドゥンバはこうした食用油に取って代わられたとも言われますが、それでも未だに、ドゥンバはウズベキスタン人の美食の対象として、確固たる地位を保っています。
シャシリクには肉と同じカットで脂肪もついているのが普通 (写真は羊肉)。カリカリに焼かれた脂肪は甘くてジューシーで本当に美味しいです。
プロフはチャイハナオシュがわかりやすいです。揚げた羊の脂肪の塊がコロンと入っています。これを美味しいと思うようになったら、もうウズベキスタン料理の虜です。
スープに浮かんだ脂肪。フワッととろけて甘みがあって、やっぱり美味しいんですよね。羊の脂肪は健康的な脂とも言われますが、実際どうなんでしょう。
羊のお肉と脂肪のミンチをはさんで焼いたゴシナン (ウイグル料理)。焼き立ては脂がとろけて最高に美味しいです。冷えると脂が白く固まって、一瞬我に返りますが。
とても肉々しいハシュ (というスープ)。脂肪もたっぷり入っています。個人的には脂肪は焼いた方が好みですが、煮たのも悪くないです。(※お肉は牛です、ハッシュドビーフからハシュという名前になったので、するとこれは牛脂なのかな、味音痴なのでよくわかりません)
他にはサムサにも羊の脂肪の小さな塊が入っているのが常ですが、焼くとたいてい溶けてしまうので、食べる時に目視はできないでしょう。
ちなみに脂肪の融点は羊が44~55℃で、主な家畜の中で最も高く人間の体温では溶けにくいそう (牛脂40~50℃、豚脂33~46℃、馬脂30~43℃、鶏脂30~32℃)。このあたりもヘルシーと言われる由縁なのでしょうか。
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ウズベキスタンの羊 (カラクル) はまだ写真に撮ったことがないので、代わりに中東の羊 (アワシ/Awassi) を。アワシは北アラブで主流の品種で、こちらも尾に脂肪を蓄えます。
写真はヨルダンの首都アンマンのシープマーケット (羊市場) の風景。犠牲祭の前は毎年こんな風に市内の空き地に市場が立ちました。
当時は羊の尾の脂肪について知らなかったので、お尻目線では写真を撮っていないのが残念です。でもやはりお尻のあたりがモコッとしていますね。