人生とは夢をひとつずつ叶えるための旅路、などと言ったりするとかしないとか。それらの夢は、大きいものから小さいものまで、それはもう人によって千差万別、色とりどり。
自分の場合、海外に関するものが多く、ピラミッドに触るとか、死海に浮かぶとか、わりと大きめの夢はその国に赴任という形でこれまで叶えてきました。
それらとは別に、子供の頃に夢見た、子供らしい小さめの野望もあります。そんなもののひとつに、「ほていの焼き鳥缶詰をお腹いっぱい食べたい」というものが。
ほていの焼き鳥缶詰を初めて食べた時の衝撃は今も思い出します。それほど美味しかった。いつかこれをお腹いっぱい食べたいと、子供心に強くそう思いました。
この缶詰、1缶では決定的に量が足りません。けれども2缶いっぺんに食べるなんてもってのほか。それは明らかにギルティです。贅沢すぎる。
こっそり手を出そうとして親に叱られ、そんな刷り込みが子供時代にできたせいで、大人になっても焼き鳥缶詰を一度に複数個開けるなどという、暴挙に打って出ることはありませんでした。
でもいつか、たぶんきっといつか、焼き鳥缶詰を飽きるほど食べてみたいと、そんな思いはマグマのように、心の奥底にふつふつとくすぶっていたのです。
そして今、ついにその時が。数年前、備蓄用に買ったほていの焼き鳥缶詰ビッグサイズの賞味期限が、目前に迫っていたのです。
これはもう開けるしかない。不退転の決意を固め、襟を正して缶切りを手にしました。焼き鳥1200グラム入りの缶は巨大です。普通サイズとくらべたらもう圧巻 (写真参照)。
キコキコと缶を切り進めるたびに、昔うちはあまり裕福じゃなかったのかなとか、でも親には感謝だよなとか、いろんな思いがあらためて胸中に去来したことは言うまでもありません。
そんなこんなで、念願かなって飽きるほど、ほていの焼き鳥缶詰をいただいたわけです。そのまま食べるだけでなく、サンドイッチにしたりピザにしたり、親子丼にしたりオムレツにしたり。もう堪能しつくしました。
ちなみに、缶を開けたら黄色い鶏の脂がびっしり表面を覆っていてけっこうグロめだったので、中身の写真は割愛。小分けして温めたら脂が溶けていい感じになりましたが。あ、味はもちろん普通のと一緒。
これでまたひとつ、夢が叶いました。でも、夢が叶うということは、その夢が終わるということでもあります。なんだか、人生がゴールに近づいているような気がして、これはこれで寂しいような気も。
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