A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

砂漠のトリュフ(サウジアラビア)

世界三大珍味、あるいは台所のダイヤモンドともいわれるトリュフ。フランス産黒トリュフとイタリア産白トリュフが世界的に有名ですが、世界には同種のキノコが30種以上あるそうです。

中東地域では、古くは古代エジプトのファラオが食したとパピルスに記され、またアラビア遊牧民の間でも、砂漠で採れるこの貴重なキノコは昔から珍重されてきました。欧米人はこれを 「砂漠のトリュフ (Desert Truffle)」 と呼んでいますが、現地の名前はいろいろです。

・テルフェズ (モロッコ)
・テルファス (エジプト西部の遊牧民)
・ファッガ (クウェート)
・ファガア、ファグウ (サウジアラビア)
・ハラスィ (サウジ東部/黒い品種)
・ズバイディ (サウジ東部/白い品種)
・カマー (シリア)
・キマー、チマー (イラク)
・ファガ、ズバイディ (オマーン)

ファガア (サウジアラビアの首都リヤドでの呼称) の香りは濃厚なマッシュルームあるいはナッツの風味といった感じで独特のねばっこい匂いですが、実際は香りを楽しむよりファガアそのものを食べることが目的となります。火を通して食べると栗のようなホコホコした食感と甘味が口に広がって、何より大粒なのでなかなか食べ応えがあります。

何種類か調理法を試しましたが、結局丸のままオーブンで焼くのが一番美味しいと思いました。卵くらいの大きさなら220℃で20分くらい。焼けたら半分にカットして、熱いうちにスプーンですくって食べます。お好みで醤油をたらしてもいいでしょう。焼くのを10分くらいにすればよりフレッシュな香りとサクサクした食感が楽しめ、30分焼くと一段と汁気が分離して旨味が増しますが、香りはだいぶ飛んでしまいます。

ちなみに皮はパリッとしたままなので、手で持って食べられます。皮には砂がたくさんついているので食べられません。アルミホイルを巻いて焼くと食感がグニュグニュした感じになるのでおいしさ半減と思いました (好みでしょうけど)。ベドウィンはそのまま火の中に放り込んだら数分で取り出し、ガブリと豪快に食べるそう。通ほどあまり火は通さないようです。

他に試したのは、ファガアを薄切りにして熱いお吸い物を注ぎしばらく蒸す方法。これもサクサクと食べられておいしかったですが、香りはあっという間になくなりました。もうひとつは厚めに切ってソテー。これもなかなかいいですが、どうせならもっと大きいものを買って、分厚くした方がおいしいと思いました。でも、大きくなると値段が跳ね上がるんですよね。

それにしても、道ばたで売っていたファガアを我ながら目ざとく見つけたものです。おかげで久しぶりの珍味を堪能することができました。(※過去記事「サウジアラビアのグルメ:サウジ料理」から編集再録、10月15日「きのこの日」にちなんで) 

なお、後年、タイにてようやく本物のトリュフを、それなりに認識できる形で食べることができました (⇒過去記事:トリュフピザ@Mozza)。独特の香りはありましたが、「これが世界中のグルメを唸らせているのか・・・」と、イマイチよくわからぬまま食べ終えたことを思い出します。