A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

最も美味しい料理(7)日本

「最も美味しい料理」を考えるシリーズのラスト、日本で食べたものです (過去記事⇒アラブエチオピアトンガ・フィジーインドネシアタイ)。正直、たいしたものは食べていないので、自分がそれを語る資格もないとは思いますが、パッと思いつく、今でも記憶に鮮やかに残っている料理が、ふたつだけあります。

和食@伊豆の旅館

過去記事「美食とは?」に書いた伊豆の旅館の夕食 (和食コース料理) が忘れられません。とにかく一品一品が、料理人の卓越したセンスと技術に裏打ちされた、見事な料理でした。それはまさに宝石のような、芸術品のような。惜しむらくは、その時自身のコンディションが万全でなく、というかとにかく2泊3日の道中ずっと満腹状態だったので、きっちり美味しくいただけなかったこと。でもあれは、二度と会うことのない素晴らしい料理の数々でした。

マンボウの唐揚げ@沼津魚がし鮨

※去年、旧ブログから引っ越す際に整理 (削除) した記事のひとつだったのですが、今回こういう機会なので、再び載せたいと思います。マンボウの唐揚げは未だに、唐揚げ系では最上位の美味しさだと信じています (次点はインドネシアのヘビの唐揚げ・・・)。もちろん、自身のすべての食体験の中でもかなりの上位です。

* * *

地元の回転寿司屋に行った時のこと、「マンボウが入りました、珍しいですよ!」という威勢のいい声につられ、マンボウの握りをひと皿取ることにしました。見た目は杏仁豆腐のような白濁してツルツルした白身。箸でつまむとプルプルと震えます。

醤油の小皿にちょこんとつけてからパクリと口に運ぶと、「ん?」というちょっとした違和感が。ひと言で言うと、味がない。そしてやたらとブヨブヨグチャグチャしていて、歯ごたえもなんだか魚とは言い難い食感でした。噛んでも噛んでも旨味が感じられず、水っぽい汁があふれるばかり。

「こ、これは、マズイ・・・」。いい感じの見た目に反して、あまりの味気なさにしばらく目が点になってしまいました。最後はお茶でごくりと飲み干したくらいです。なんでしょう、この感じ。曲がりなりにも寿司ネタにしているわけですから、万人ウケはせずともそれなりの味わいがあって当然と思うのですが、そもそも味がありません。

良くいえば淡泊でクセがないので、たとえば醤油をたっぷりつければおいしいかもなどと思ったりもしますが、噛んでいて楽しい食感ではないし、何しろ水っぽいので、寿司ネタとしてはなんとも残念な結果でした。確かに、お店の人も「珍しい」とは言っても「おいしい」とは言っていませんでしたけど・・・。

ここで、「マンボウ ハ マズイ」と機械的にインプットすることもできたのですが、しばらくして今度はマンボウの唐揚げが回ってきた時、迷いに迷ってもうひと皿マンボウと相まみえることを決心しました。「もしかしたら」 という一縷の望みです。

そして、これが近年まれに見る大ヒットと相成りました。あのプルプルで頼りない白身が、火を通した途端、極上の一品に大化けです。極めて柔らかい鶏の唐揚げといった感じのシコシコ食感、泉のようにあふれる肉汁、余分な水分は落ちて旨味がギューッと凝縮されています。でもトータルではあっさりテイスト、とても上品な味でした。

魚の揚げ物はこれまでフグの唐揚げが一番おいしいと思っていましたが、マンボウの前ではその地位も危うくなりました。それほどマンボウの唐揚げはおいしいと思います。イギリスのプリマスで食べたフィッシュ&チップスもなかなかでしたが、ボリュームがありすぎて最後の方は飽きてしまいました。アナゴの天ぷらも好きですが、匂いの惹きはあまり強くないかな。

ちょっと思い出しましたが、シーフード料理が壊滅状態の内陸国エチオピアにあって、アジスアベバのデサレンホテルだけは妙においしいフィッシュ&チップスを出していました。あれは本当においしかった。エチオピアで魚といえば普通はテラピアしかないので、タラ (冷凍物) を使っていたデサレンホテルは際だっていました。

そう言えば何人かでエチオピア国内出張をした時、あるホテルのレストランで 「えっ、テラピアじゃなくてナイルパーチがあるの?。ラッキー!」 と嬉しそうに注文していた人 (エチオピアが長い日本人) がいました。エチオピアで魚を味わおうとは思っていなかったので、このひと言には目から鱗でした。

・・・話がそれました。年を重ねてそれなりにおいしいものを食べるようになると、食に関しては年々感動が薄れていくわけですが、マンボウの唐揚げは久しぶりの衝撃でした。握りの方も別の意味で衝撃的でしたが。(※写真は後日またマンボウの唐揚げを食べに行ったときのもの)

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海外旅行中に食べたものについては、あれこれ考えましたが、なかなか難しいのかなと。旅行中はできるだけ現地の名物料理を、それなりの人気店で食べるようにしているので、ベルリンのアイスバインとか、マルセイユのブイヤベースとか、ウイーンのザッハトルテとか、結局誰もが食べているようなものばかりになってしまいます。

もちろんどれも美味しいです。でも、旅行者が短い滞在中に、偶然とんでもない美食に出会うなんてことはやはりそうはないので、これまで美味しい料理にたくさん出会ってはきましたが、海外旅行中に食べたものを「最も美味しい料理」と言うのはなかなか難しいと感じました。

カテゴリー「海外旅行記」に旅先で食べた物についても少し書いているので、ご興味あればぜひ。