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タイバーン・ザ・シリーズ(タイ映画)

「タイバーン・ザ・シリーズ (ไทบ้าน เดอะซีรีส์)」は2017年から続くタイのロマンチックコメディ映画です。シリーズ作品は次のとおり (だと思います、たぶん)。

①タイバーン・ザ・シリーズ (2017年)
②タイバーン・ザ・シリーズ 2 Part-1 (2018年)
③タイバーン・ザ・シリーズ 2.2 (2018年)
④タイバーン・ザ・シリーズ Special (2019年)
⑤タイバーン ✕ BNK48 (2020年)
⑥タイバーン・ザ・シリーズ Doctor Plawan (2022年)

このうち自分が観たのは①、⑤、⑥。まず⑤を観ましたが (⇒コチラ)、これはタイバーンの舞台を借りた、BNK48のドラマで、シリーズ作品としてはスピンオフという位置づけ。なので、オカッパ頭のロートと美女2人 (小学校教諭ケーオと勤務医ワーン) の関係については、ごくあっさりの描写でした。

⑤がなかなかおもしろかったので、続けて①を、そして最近劇場公開された⑥を観たのですが、どちらもタイ語字幕でした。なぜなら、本作はイサーン (タイ東北部) を舞台にしたストーリーで、劇中でも会話はイサーン語とのこと、そのため字幕はタイ語 (タイ標準語) なんだそうです。

ということで、会話の内容はほぼすべて雰囲気で捉え、ストーリー構築は脳内補正90%ですが、それでも内容はそれなりに入ってきました。恋愛パート (三角関係) ももちろんありますが、それ以上にイサーン (シーサケート県) の片田舎の雰囲気や生活感を描いているので、言葉はわからずとも十分楽しめる作品でした。

タイバーン・ザ・シリーズ (2017年)

イサーンに住むさえない青年ロート (ジャロート) は、悪友シアンとうだつの上がらない毎日を過ごしていました。村の小学校に教員として赴任してきたケーオに恋心を抱いたロートは、次第に距離を縮めていきますが、クリニックに勤務する医者のワーン (プラーワーン:クジラの意) にも目移りしています。

ワーンもロートに好意を持っている様子で、逆にケーオには、(あまりうまくいっていない) 警察官の彼氏がいました。ロート、ケーオ、ワーンの、三角関係とも言えないような、微妙なかけ引きが続く日々。

やがてケーオは彼氏からプロポーズを受け、彼の家に引っ越していきました。激しく落ち込み茫然自失となるロート。あまりの衰弱ぶりにワーンのクリニックに運び込まれましたが、その状態を見たワーンは、ロートが本当に好きな人はケーオだと悟るのでした。

町のアパートで彼氏と同棲を始めたものの、どこか気分が乗らないケーオ。ロートのいる村に荷物を取りにもどった際、あらためてロートの気持ちに気付くと、ようやく二人は心を通い合わせました。最後は田んぼを駆けながら、二人で凧揚げして終劇。

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タイバーン・ザ・シリーズ 2.1 & 2.2 (2018年)

断片的に観た程度で (しかもタイ語字幕だし) 多分に想像なのですが、ストーリーはロートの村の住民の群像劇になっています。中心的なものは悪友シアンのストーリーと、それからロートの弟も。シアンは最愛の女性 (初恋の女性) が結婚することを知り、ショックから出家します。シアンはもともとなぜだかすごく女性にもてたチャラ男だったのですが、これを機に色欲を絶とうとしたのでしょう。弟くんはクラスメートといい雰囲気になれそうな、なれなさそうな。

ケーオがロートの家に転がり込み、同棲生活が始まりました。楽しく過ごす毎日ですが、とにかく金欠のロート。家財道具もろくなものがありません。古いマットレスを引っ張り出して二人のベッドにしたところ、ケーオはノミにたくさん噛まれてしまいます。ロートのバイクでクリニックに連れて行ってもらうと、そこにはワーンがいました。

背中をまくって見せながら、ロートと生活を始めたことを何気なく伝えるケーオに、ワーンは動揺を隠せませんでした。気まずそうな顔をするロート。クリニックではそれ以上何事もなく、またケーオも何かを察した素振りは見せませんでした。

ロートとワーンの関係は、ひとつ大きな転機を迎えました。ロートとワーンがキスを交わしたのです。しかしその後、大泣きしながら村を一人さまよい歩くワーンの姿がありました。ただしこれは本編で観たのではなく、シリーズ2のオフィシャルMVの描写です (MVには第1作のシーンも混ざっています)。ロートはやはりケーオを選んだのでしょう。

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タイバーン・ザ・シリーズ Special (2019年)

完全に未見。もしかしたらビハインド・ザ・シーンとか特別映像のパッケージなのかもしれません。

ポスターの副題 (英語) は "Can I Love You?" ですが、タイ語の原題を直訳すると "Can I have a Hug?" とも出てくるので、「好きになってもいいですか?」よりは、「ハグしてもらっていいですか?」の方が、もしかしたら内容に合っているのかもしれません。

ここから想像できるのは、副題前者はロートのことを忘れられないワーンが、「ケーオと付き合っているのは知っているけれど、それでもあなたのことを好きになってもいいですか」と、図らずも略奪を視野に入れたような、積極的な気持ちを伝えているということ。

そして後者の場合は、「もし私のことを少しでも想ってくれているのなら、一度だけハグしてくれませんか」という、消極的に見えて、実はある意味さらにあざといやり方なのかなと。ハグするかしないかの選択はロートに任せているので、これがケーオにばれて修羅場になったとしても、責任はロートにあると言い張ることができます。(←あくまで妄想です)

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タイバーン✕BNK48 (2020年)

主役はBNK48。イサーンの歌謡曲 (モーラム) を取り入れた新曲を制作するため、シーサケート県に連れてこられたBNK48メンバー。この秘密プロジェクトを主導するソングライターのオカマ先生は、幼馴染のロートを現地の世話役に指名しました。

ロートとケーオは同棲を続けています (結婚はまだ)。若い女性の集団と楽しそうに過ごしているロートを見て憮然とするケーオでしたが、そのうちこれがちゃんとした仕事だとわかると、次第にケーオの機嫌もなおっていきました。

ある日、メンバーの一人が吐き気を訴え、ケーオは慌てて彼女を町のクリニックに連れていきました。そこにはワーンの姿が。久しぶりに会話をする様子の二人。少しニヤニヤしながら「さみしかった?」などと軽口をたたくロート。ワーンも満更でもない様子でしたが、それ以上の展開はなし。

BNK48ともすっかり打ち解け、彼女たちのプロデューサーの結婚式にバンコクまで呼ばれたロートとケーオ。新婦のブーケトスを受け取ったのは、ケーオでした。ブーケを手に満面の笑みでロートを見つめるケーオ。しかしただただ苦笑いのロートでした。

物語が大団円を迎えあと、映し出されたラストシーンは、田んぼの脇に建てられた小屋でくつろぐロートとワーンでした。「オレ、友達になれる?」とワーンに言うロート。あくまで好きなのはケーオ、でもワーンとも友達でいたい、ということなのでしょう。

「あなたが友達以上の気持ちを持たなかったらね」そう答えるワーン。そして画面には大きく「タイバーン・ザ・シリーズ:ドクター・プラーワーン」の文字が。これは次回作の予告タイトルです。つまり次はワーンが主役だということ。

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タイバーン・ザ・シリーズ Doctor Plawan (2022年)

タイトルどおり、本作の主役はワーンでした。未婚とはいえロートと同棲していてすでに本妻のようなものなのに、ケーオの登場シーンはだいぶ少なめ。

ワーンのロートに対する気持ちは落ち着いているように見えますが、今も何かとロートを頼っています。たとえばキモい男にデートに誘われてしまい、そのデートにロートを連れて行くなど、少しやりすぎな部分も。しかしロートの方も頼られることがとてもうれしい様子。

ロートの母親が足を怪我してしまい、ワーンに往診を頼んだりクリニックに薬を貰いに行くようになると、ますますロートとワーンの距離は近づいていきました。ベッドでもスマホを握りしめ、こっそりチャットしているロート。こうなるとさすがにケーオも怪しむように。

そんなある日、ケーオは小学校の生徒を連れて遠征に行くため、数日間、家を離れることになりました。ケーオを見送った後、そわそわが止まらないロート。どうしたらワーンと不自然でなく会うことができるか。出した回答が、氷でキンキンに冷えた水を浴びて、風邪を引くことでした。

思惑通り熱を出したロートは、ワーンに往診を頼み、ワーンは同僚の医者の青年を連れてロートの家を訪ねました。診療もそこそこに、ロートは悪友シアンと弟を使って二人をもてなします。夜になって、ロートは弟とワーンの三人でゲームを始めました (同僚の医者は階下でシアンに酔い潰されていました)。ゲームに負けると強いお酒を1杯飲むルールです。

最初は嫌がっていたワーンでしたが、そのうちたがが外れたのか、グイグイと浴びるようにお酒を飲むと、酔った勢いでロートに対する思いの丈をぶちまけるのでした。かと思ったらいきなり吐き、そしてロートとケーオのベッドに倒れ込みました。そのとき床に落としたメガネは、踏んで壊してしまいました。

翌朝、ワーンはロートが目を覚ます前に、こっそり家を出ていきました。結局、何もなかった二人。もちろん、二人が今まで以上の関係を求めていたとも思えませんが、ワーンの気持ちはますますこじれ、ロートにもただ気まずさが残ったのでした。

遠征から帰ったケーオは、ベッドルームに残されたワーンの壊れたメガネを見つけてしまいました。そしてベッドからは、ケーオのものではない長い髪の毛が。愕然とするケーオ。ロートには何も言わず、ケーオは家を出ていきました (実家に帰った)。

ケーオは一度クリニックに寄って、おそらく「妊娠検査キットちょうだい、子供ができたみたいだから」みたいなことをワーンに伝えました (たぶん嘘)。ワーンは現実を突きつけられ大ショック。

そこからはお決まりの、激しく落ち込むロートの姿が。こうなることはわかっているのに、なぜいつも同じ過ちを。。そうしてついにロートは決心します。ケーオとの結婚を決めたのです。ロートは式の準備を整えるとオカッパを断髪、招待状を渡すため、ワーンのもとを訪れました。ワーンは悲しみに震え、そして泣きくずれました。

迎えた結婚式当日。貝殻の水差しを使って、新郎新婦であるロートとケーオを祝福するワーンの顔色は冴えません。見つめ合うワーンとケーオに、ロートも気が気ではない様子。その時、誰かが記念撮影をしようと声を上げました。新郎新婦の真後ろに立たされるワーン。カメラマンの「スマイル!」という掛け声に、どうしても笑顔が作れないワーン。頬には大粒の涙が伝っていました。

ラストシーン。ワーンはクリニックから町の大きな病院に勤務先が変わったようです。病院を見上げながら、笑顔になるワーン。ここから、新しい人生が始まります。

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ああ、おもしろかった。優柔不断なロートの態度に、時にイライラしつつ、それでももし自分がロートの立場だったらどうしただろうか、などと考えながら、すっかりこのシリーズの魅力にハマってしまいました。

クールビューティーでツンデレのケーオ、対するは、ほんわか癒やし系というかあざと可愛い系のワーン。ここまで印象が真逆な、そしてどちらもそれぞれきれいな役者を、よくぞ見つけてくれました。

のんびりしたイサーンの田園風景もよかったです。英語字幕付きのシリーズコンプリートDVD BOXないかなあ。

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