A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

DUNE/デューン 砂の惑星(映画鑑賞)

ご存知フランク・ハーバートのSF大河小説『デューン』の映画化作品。ハヤカワ文庫の小説 (砂の惑星) を読み、 デイヴィッド・リンチの映画 (1984年) を観てきましたが、当時のことを思い出しながら本作を鑑賞してきました。

アラビア語学習者でSF好きとくれば、デューンは必ず通る作品。すでに多くの人に語られてきたように、デューンの世界観の構築に大きな役割を果たしたのがアラビア語・イスラム文化から転用された多くの単語。

ムアッディブ (主人公ポールが得た二つ名)、アラキス (砂の惑星)、シャイフルード (またはシャイイフルド=砂虫) といった最重要単語もそうですが、メランジ (スパイス) も「ナランジ」から取ったのかななどと、当時は想像を巡らせたものです。(ナランジについてはコチラの文中「アラビア起源の言葉」からどうぞ)

作品の中でイルム (科学) という単語も出てきますが、アラビア語では科学・知識・学問の意味です。「A-L-M」という三語根の動詞「アリマ (知る/علم)」から来ていますが、派生単語としてイルムの他にも、ムアッリム (先生)、タアリーム (教育)、マアルーマート (情報)、そして世界 (アーラム) などがあります。本当に単語のチョイスが絶妙だなと。

さて、本作。用語の説明とか世界観はある程度みんな知っている前提で、カタログ的な説明は省いているように思ったところはありましたが、要所はきちんとおさえているし、登場人物の行動にも説得力があるストーリー運びになっていたと思います。

砂虫や惑星の環境描写、宇宙船の攻撃シーンや両軍の白兵戦などは現代のCG技術も相まって迫真かつド迫力。一方でぴんと張り詰めた静謐なシーンも多く、そちらは様式美すら感じました。BGMも良かったな。あとは数々のガジェットも。これは大成功でしょう。パート2は確約されたのではないでしょうか。

1984年作品もカルト的な味わいがあって嫌いではありませんが、さすがに時間が足りず、後半は端折りすぎてわけが分からなくなっていました。本作のパート2はきっとそういうことにはならないでしょう。今から楽しみです。

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