A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

IT 2/イット ENDS(映画鑑賞)

イット2を観ました。前作 (2017年) を観たので一応完結編も観なければなということで。スティーブン・キングのモダンホラーというかスーパーナチュラルの物語は、自分が怖いと思うホラー (=心霊) とはまた違ったジャンルなので、怖がりたくて観るものの、なんだかいつも狐につままれたように観終わるのが常。果たして今作はどうか。

観終わって思ったのは、やはり、「これホラーなの?」 序盤はダーク・ファンタジーかなと思い、次第にホラー・コメディかもと思い始め、終盤はモンスター・パニック (アクション・アドベンチャー風味)、最後は青春 (実際は中年) ドラマ、そして27年もの想いを成就したメロドラマだったなと。端的に言えば、化け物退治をして大人になる話。

スティーブン・キングって通過儀礼が好きですね。ホラー小説の体裁で差別や虐待といった社会問題を散りばめるし、すべてを記号として考えさせる語り口やゲームのルールを設定するパターンは、読み解くのに冷静な思考が必要で、単純に怖がりたい気持ちとは相反するため、途中でちょっと冷めてしまいます。映画化された本作もそんなところがありました。

ちなみに前作はホラーとしても、青春ドラマ/成長物語としても良くできていたと思います。主人公が子どもであるため感情移入しやすく、いい意味で胸クソ描写が小気味よかったし (町の住人ほぼ全員頭おかしい)、何よりペニー・ワイズ (殺人ピエロ) が不気味でした。あの年代の少年少女なら女の子のほうがだんぜん大人というドキドキ感もありました。

それをふまえた上での今作、感想としては、ホラーというより個人がトラウマを克服する人間ドラマとして観れば、あれこれ盛りだくさんの面白い作品だったのかなと。各シーンを表層的ではなく、深層に込められた記号として捉える必要はありますが。そうしないとペニー・ワイズの七変化ぶりとか失笑に次ぐ失笑かも。どう見ても漫☆画太郎のババアが出ていたし。

ベバリーのそこはかとないビッチ感は、アメリカ的にはOKなのだろうか。。

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※2019年の記事を再録。