「Low Season」は2020年のタイのロマンチックコメディ映画です。霊感を持つ少女リンが彼氏と別れ、心の傷を癒やすため訪れたチェンマイの山奥に建つリゾートロッジで出会ったプートと心を通い合わせる物語。
リンは幼い頃から幽霊が見える体質。しかしそれを話すと気味悪がられるため、親友の忠告にしたがって他人には話さないようにしていました。大学でつきあっていたトーとのデート中にも見えてしまいそのたび挙動不審に。本当のことが言えないリンは、トーを怒らせてばかりでした。
トーは卒業後芸能界に入り、あっという間にスターになっていきました。トーとリンの距離は離れ、傷心のリンはあえて観光客がほとんどいない雨季 (ローシーズン) にチェンマイへと旅立ったわけです。そこでリンは売れない脚本家のプートや他にも個性的な旅行者と一緒になり、時に幽霊におびえつつ、ドタバタとにぎやかな日々を過ごします。
最初はお互い良い印象を持たなかったリンとプートでしたが、二人で森をさまよったりするうちだんだん距離が近づき、プートが意外に怖がりだったり、幽霊が見えると告白したリンをプートが優しくなぐさめたり、またプートがリンのためにお守りを自作するなど、互いに好意を寄せるようになっていきました。
そうして一度は両思いになる二人でしたが、トーからリンに復縁したいとの電話が入り、リンの気持ちは揺れ動きます。プートとは気まずい別れをし、バンコクに戻ったリンはトーと再会。また幽霊を見てしまいますが、今度は正直に告白しました。
トーは、良い医者を紹介するから大丈夫だよと言いました。優しい口調でしたが、リンは違和感を感じました。自分は病気だと思われている。そう思うと悲しさがこみ上げてきました。
プートに告白した時は、それは辛かったねとリンの気持ちに寄り添ってくれました。リンの言葉を信じ、ありのままを受け入れてくれたのです。チェンマイに戻ることを決意したリン。そうしてふたたび笑顔で再会する二人でした。
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幽霊が見える女の子という設定はあるし実際何度も幽霊は出没するものの、全体的にコメディタッチの展開です。ロッジの面々もそれぞれいい味出していました。タイ映画はこういったライトなラブコメが本当に得意。おもしろい作品がたくさんあります。
「愛しのゴースト」で国民的スターになったマリオ・マウラー (プート役) とも息が合っていた若手女優の Ploypailin Thangprapaporn (リン役) は、雰囲気がちょっと佐藤栞里さん似。これが映画初主演ですが、表情豊かでした。