A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

Karma (Arbat)(タイ映画)

Karma (またはArbat、Arpat、Pret Arbut)」は2015年のタイのホラー映画です。少年院に2年入った後、父親から出家するよう言われ、バンコクから地方の小さな村のお寺にやって来た少年サン。仏門に入ってからも仕事をサボってタバコを吸ったり村の女の子に興味を持ったり、生活態度を改める気配はありません。

サンが寝泊まりする宿坊には夜な夜な浮浪者が来るし、バンコクの彼女には絶縁されるし、たびたび女性の幽霊を目撃するしで、サンのイライラは爆発寸前。そんな不満も同じ年頃の先輩僧ティンとの雑談や、女の子ファイとの密会で多少は緩和されますが、ついにサンは、ファイを連れてお寺を逃げ出すことを決めました。ところが・・・。

実はサンの宿坊には忌まわしい過去が隠されていて、それは村全体を覆う暗い影でもあったのです。寡黙な住職、浮浪者、ティン、いったい彼らは何者なのか。そして女性の幽霊との関係は。愛することが罪ならば、愛ゆえに人は罰を受けなければならないのか。罪を償うとは何なのか。カルマとは。僧になる意味とは。そして最後にサンが下した決断は。

物語の舞台からして、非常にタイ的な作品です。一方で、内容はいわば破戒僧の物語ですから、ストーリーは革新的。敬虔な仏教国タイではさすがに過激と受け止められたのでしょう、一時は上映中止命令も出されました。最終的には検閲 (2分間のシーンをカット) を受けた上で上映にこぎつけ、事前の騒動もあり、結果的に映画はヒットしたそうです。

禅問答のような会話もふんだんに見られ、ホラーとはいえなかなか考えさせられる作品です。プロットが秀逸なので、観終わった直後にもう一度、確認のため再視聴してしまいました。ネタバレした上でもう一度観ると、ますます「うまくできているな」と感心させられるのでした。

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