A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

イルカとクジラ、そしてフカヒレ

写真は地元のスーパーに並べられたイルカパック (国内産)。静岡では縄文時代からイルカを食べていたとも言われています。子どもの頃から給食や食卓には、クジラに加えイルカが出ていたし、地元では時々回転寿司でも回っていますから (クジラの握り、イルカの味噌煮など)、自分の中ではイルカ食もクジラ食も特に奇異なものではありません。

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ただ、いくらでも食べ物があるこの時代に、わざわざイルカやクジラを食べなくてもと思わなくもありません。また、海外生活を長く続けていると意識も多少は変わってきて、とくに大洋州勤務を終えた後は、スーパーでこうして売られているのを見つけるたび、複雑な気分になっていました。

トンガのババウ島でホエールスイムをした際、同行したオーストラリア人から一言目に「あなたの国ではクジラを食べるんだよね?」とけっこう真顔で言われたし、フィジーでは新聞の一面に日本の捕鯨が問題であると大々的に記事が載りました。ツバルでは「我々は捕鯨に賛成票を投じているんだけど? (だからもっと援助を・・・)」と言われたり。

日本や日本人のことはほとんど知らないけれど、捕鯨を続ける「悪い国」であることは知っている、という人が増えてしまうことは、外交的にもやはりあまりよろしくないんじゃないかなと。日本政府も反論の広報をそれほど熱心にやっている印象はないし。「こっちの文化なんだから放っておいてくれ」という理論は、このグローバルな時代にはもはや通用しないですよね。

(グローバルな時代だからこそ逆にローカルの個性を維持すべきという議論はまた別のところで)

正直なところ、いま静岡県人がイルカとクジラを食べる必然性はあまりないのかなと思います (とくに栄養学的には)。ただ、異なる価値観や文化的背景から、特定の国・地域に古くから伝わる食文化を頭ごなしに否定してしまうのも、それはそれで問題ありではないかなと思ったり。

同じような意識の変化は、フカヒレについても言えます。タイに赴任した際、中華料理店で催された食事会に同席した若いタイ人が、フカヒレは食べないと言っていました。理由をたずねたら、フカヒレの採集方法が世界的に問題視されていることを知ったからとのことでした。その日の晩に自分もあれこれ調べてみたところ、まあ確かにこれは問題視されるよなと。

写真は以前食べたフカヒレラーメン (日本)。タイ料理・中華料理から今すぐフカヒレを失くせとは思わないし、自分がこれまで食べてきた事実も変わりません。でも、これからは少し意識を変えるべきなんだろうなと思っている次第です。

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※2018年の記事を編集再録+追記。