A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

Inhuman Kiss(タイ映画)

「Inhuman Kiss」は2019年のタイのホラー映画です。タイ (や東南アジア) に伝わる "ガスー (クラスー/Krasue)" というお化けにまつわる物語です。ガスーは、内蔵をぶら下げたまま夜な夜な飛び回り動物の生き血を吸う女性の生首 (通常若くてきれいな女性) で、同様の男性版はガハン (クラハン/Krahang) と呼ばれます。

タイでは生前に人を呪うなど多くの罪を犯した女性が死後ガスーになると言われますが、本作ではヒロインのサイが幼少期にガスーから呪いをもらってしまったことになっています。

物語は数十年前、バンコクで内乱が起きている時代のこと。サイの住む村に、幼馴染のノイが戻ってきました。彼はガスーを狙うゴーストハンター集団と一緒でした。

ゴーストハンターのボスは粗暴な男で、村長 (サイの父) は山賊のような集団に疑心暗鬼でしたが、実際、このところ村では家畜が殺される事件が頻発しており、仕方なく滞在を許可しました。

サイはノイの帰郷が嬉しくて仕方ない様子で、サイのことが好きなジャード (彼も幼馴染) は気が気ではありません。ほどなく、サイがガスーであることにノイがいち早く気づいたため、二人の距離はさらに縮まりました。

ノイは僧侶の言葉を信じ、ガスー化を抑える薬草の存在を突き止め、サイを連れて森の廃屋に行きました。そこはサイがガスーの呪いをもらう原因となった場所です。彼女たちは幼少期にそこでかくれんぼをしていたのです。

密かにサイの後をつけていたゴーストハンターのボスは、そこでガスー (サイ) の逆襲にあって仲間たちを失いました。その日の晩、サイに詰め寄りますが、薬草を食べたサイはどう見ても普通の人間でした。

ここから、なかなかの超展開になります。ボスの正体は○○。ボスの怒りを受けジャードも○○化。サイは村人の衆人環視の中、ガスー化。襲いかかるジャード。しかしとどめをさせず、代わりにボスがガスーを襲います。

そこをジャードが邪魔をして、ボスによりジャードは絶命。ガスー絶体絶命のところ、ボスに銃弾を撃ち込んだのは、例の僧侶でした。実はこの僧侶、サイを呪った末に消滅したガスーの元旦那さんだったのです。

村人によりサイの身体 (首なし) はずたずたにされていましたが、ノイは身体を川まで運び、小舟に乗ってバンコクに逃亡するつもりでした。川に来ると、サイの首 (ガスー) も追いついてきました。

一緒に行こうと涙ながらに訴えるノイ。サイの首は一瞬人間の表情に戻り、ノイに別れのキスをしました。すでに元に戻ることを諦めたサイ。その時、追いかけてきた村人の銃弾が、サイの頭を撃ち抜きました。ノイ号泣。

ラスト、情勢が落ち着いたら一緒にバンコクに行こうと指切りで約束をするサイ、ノイ、ジャードの3人 (回想シーン)。あの笑顔はもう二度と戻ってはこないのでした。

うーん、最後はなんだか感傷的にまとめられていますが、トンデモ展開が度を越していたので、個人的にはちょっと違和感しかなかったですね。水木しげる的世界観に突然ハリウッドが入ってきたみたいな。

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