「ATMエラー」は2012年のタイのロマンティック・コメディ映画で、この年タイで大ヒットを記録しました。
社内恋愛が禁止されている日系銀行JNBCで、5年間密かにつき合っていチップ (Jib: Preechaya Pongthananikorn) とスア。ある日、ちょっとした口喧嘩から、勢いで結婚式場の予約をしたスアに、あきれつつも内心うれしいチップ。
しかし二人が結婚するということは、どちらかが退職することを意味します。翌朝、銀行のエレベーターの中でそのことについて口論になる二人。どちらも辞める気はありませんでした。
そんな時、チョンブリ県のあるATMマシンがソフトウェアエラーにより誤作動を起こし、支払い金を2倍出してしまう事故がありました。結局、その日の晩に引き出された不正金額は合計13万バーツ(約45万円)に。
チップは上昇志向の強い27歳のキャリアウーマンで、オフィスでも副部長の肩書を得ていました。ATMエラーがあった次の日、銀行のチョンブリ支店長と一緒に部長に報告をするチップ。
部長は、不正にお金を得た人間を調べ上げ、すぐにお金を取り戻さなければ、二人とも10年間はボーナス無しだと叱責しました。その日、スアと夕食を食べていたチップは、思わず愚痴をこぼしました。
スアは、そんなの簡単だろうと言いましたが、一筋縄では行かないと悩むチップ。そうして、売り言葉に買い言葉で、お金を取り戻せた方が職場に残るという、二人の勝負が始まりました。
出てくるキャラがみんな濃い人ばかりで、最初から最後までコメディ色が強い物語です。ドタバタがありつつも (ストーリーはけっこう複雑)、不正にお金を得た人間はだんだん特定されていき、クライマックスでは大怪我をしたワニを病院に連れ込むことに。
結局、彼らからお金を取り返すことはできないと悟ったチップは、それぞれもうお金を使ってしまったという宣言を各人にさせます。しかし実は、彼らの言葉は録音されていて、(途中で気が変わったチップの思惑とは裏腹に) 部長に報告されてしまいました。
銀行から連絡を受けた彼らは、法的措置を取られたら破産だとスアに泣きつきました。するとスアは、結婚資金を切り崩し、13万バーツを部長に差し出したのでした。それを知ったチップはショックを受け、もう結婚はできないと言いました。
一方、チップがスアとつき合っていたことが、部長のドラ息子社員のせいで知られてしまいました。部長に問い詰められたチップは、自分が辞めると言い残し、会社を去りました。スアには彼らからお礼とともにお金が返ってきますが、合わせてもわずか1200バーツでした。
二人が結婚式を行うはずだったその日の夜、ぼんやりと会場に足を運んだスア。ダンスフロアを眺めると、そこにはチップの姿がありました。もう一度話し合いをする二人。しかしどうしても口論になってしまいます。
突然、スアはジャンケンをしようと言い出しました。自分が負けたら結婚してくれと。"ジャンケン・・・" と言い終わる前にパーを出すスア。さて、チップの答えは・・・。
まあお決まりですが、最後は結ばれるんですよね。ベタといえばベタですが、それでいいんです。そうこなくっちゃです。ラブコメはやっぱりハッピーエンドが吉。
もちろん主役二人も良かったですが、個人的には部長のドラ息子 (Gornpop Janjaroen) が最高にキモダサくてかつ笑える絶妙なラインをキープしていて、強烈に印象に残りました。本業は歌手だそうですが、芸達者です。
あとはランドリーを営む強欲ババアの娘のゴープ (Gob: Sananthachat Thanapatpisal) が最高にキュートでした。一見ブサカワ寄りですが、仕草がこの上なく愛らしい、というかバカっぽい、いい意味で。気になって名前で画像検索したら普通に美人でビックリしました。
主題歌のMVは映画の男性キャストが登場し、映画のシーンもふんだんに使われています。聴いていて観ていてほっこりする名曲。