1956年のアメリカのミュージカル映画「王様と私 (The King & I)」は、タイのラーマ4世とイギリス人家庭教師アンナの邂逅を描いた物語です。有名ですがさすがに古い映画なので、タイトルと主要楽曲は知っていても本編は観たことがない人も多いかと思います。
自分は学生の頃テレビで観ましたが、もうストーリーもほとんど忘れていたので今回あらためて鑑賞。タイにいながら観てみると、よく言われるようにタイの人からしたら納得いかない描写も多いと感じました。昔はわからなかったですが。
タイの文化的な描写がナンチャッテ感満載だし、王様をちょっと小馬鹿にした感じもあるし。南北戦争中のアメリカに象を贈ろうとか、王様が考えあぐねていたイギリスとの外交問題についてアンナがパッと妙案を出すとか。
ベースは実際の教師アナ・リオノウンズの回顧録ですが、もともとが主観による自伝であることに加え、これがさらに欧米人の価値観で映画になると、さすがにちょっとおかしなことになってくるなと。
映画としては面白いです。タイの王様を惹きつけるイギリスの未亡人とか、ビルマから献上された美女とその側近の禁断の恋とか、メロドラマとしたら完璧な題材。王様とアンナが手を取りあって踊る "Shall we dance?" もエバーグリーンな名曲です。
映画製作当時の時代背景を考えたら製作側のタイに対する無知も仕方ないかもしれません。その辺をちょっと差し引いてあげて、やはり一度は観るべき名画だなとあらためて思った次第。