A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

アフリカ旅行記

ザンビアに嫉妬

エチオピア滞在中、南アフリカ、タンザニア、セイシェル、ザンビアに行きました。南アは、「白人が入るとこうも違うんだ」と罰当たりなことを考えつつ、エチオピアが100年たっても追いつけないだろうと容易に想像できるほどの発展ぶりに、ただただ驚くばかりでした。

タンザニアはセレンゲティとンゴロンゴロでサファリツアー。アフリカといえばやはり野生動物ですが、ちょうど大移動のシーズンにあたったようで、怖くなるくらい、動物の大群を間近で見ることができました。セイシェルもしかり。世界中の旅人を魅了し続ける素晴らしい海と砂浜があります。

エチオピアはアフリカなのになんで野生動物がいないんだろう、なぜ美しい自然が残されていないんだろうと、ロッジにもどった後、あまりにも無い無い尽くしのエチオピアが気の毒になりました。

一方ザンビアは、エチオピアほど資源も何もないわけではありませんが、1人あたりの年間所得がエチオピア100$ (世界最貧国レベル) に対して350$ (当時)。3倍以上の開きと言えなくもないですが、所詮は数百ドルですから、それほど大きな差とは思いませんでした。また、海岸線をもたないのもエチオピアと共通しています。出張に来る前は、首都のルサカもだいたいアジスアベバみたいな町だろうと想像していました。食べ物についても、特に何の期待もせず。

ところが、まずチェックインしたホテルにびっくり。同じような値段のアジスアベバヒルトンホテルに比べたら、まぁ、きれいなこと。ロビーも部屋もピカピカ。この時点で「あれれ?」という予感はあったのですが、ショッピングセンターに連れて行ってもらってまたまた驚きました。こんな立派なものがあるとは、まったく想像していなかったからです。しかも、小洒落た店で新鮮なシーフードまで食べることができました。エチオピアでは、魚介類といえばテラピア、あっても冷凍イカなのに。かなりの敗北感・・・。

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所得レベルはたいして違わないのに、いったいこの差はどこから来るのでしょう。結論から言えば、これらは南ア資本によるものでした。経済的に多くの部分で南アの影響下にあるザンビアは、見かけ上はそれなりの豊かさ、華やかさを見せつけてくれます。

ザンビア人が外資ビジネスをどんな気持ちで見ているのか一考の余地はあるでしょうが、天然資源を何も持たないにもかかわらず、外国資本の参入を厳しく規制して、その結果あいかわらず物資の不足に苦しむエチオピアと、どちらに住むのが幸せでしょう。かなりレベルの低い争いかもしれませんが、この時はザンビアに住む外国人がうらやましくて仕方ありませんでした。

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標高2400mのアジスアベバに比べたら、たいがいどの国に行っても良く眠れるので (空気が濃いから)、それだけとってもエチオピアより良いなといつも思うのですが、だったらエチオピアで誇れるものって何でしょう。治安が良い? ただしアフリカの中では、という枕詞つき。中東に比べたら犯罪は相当多いです。

女性がきれい? たぶんこれもアフリカの中では、ということでしょうか。でも、普段から深刻な顔つきのエチオピア人ばかり見ていたので、ザンビア人のまん丸な笑顔がとても素敵に見えました。特に子供の可愛らしさは特筆ものです。ザンビアの田舎に行っても「You You, Money」とは一度も言われなかったし。

アフリカ13ヶ国からアジスアベバに人をよんだ時は、みんな「エチオピアには文化がある」と口々に言っていました。アフリカ人から見ればそういうことなんでしょうね。2000年以上の歴史と固有の文字も持ち、アフリカでは唯一独立を保ってきた希有な国ですから (侵略するほど魅力がなかったとも…)。

個人的にエチオピアでもっとも感動したのは料理なんですが、「エチオピア料理は美味しいよね」とアフリカ人に言ったら、「インジェラなんて食えないよ」とほぼ全員に否定されてしまいました・・・。

ちなみにエチオピア人は「米なんて貧相なもの食えない」と言っているし、一般的に外国人は料理についてはかなり保守的だと思います。日本人が「雑食」すぎるのかな。

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ザンビアの主食 シマ (ンシマ Nshima)

アフリカの主食といえば、トウモロコシ (メイズ) の粉をお湯で練って作った「ウガリ」が有名ですが、ザンビアでは同じものが「シマ」と呼ばれます。もともとウガリも食べたことはなかったのですが、ザンビアに出張した際、何度かシマを食べるチャンスがありました。普段冷えたインジェラを食べ慣れている身としては、熱々のシマは殊の外おいしく感じました。やはり日本人にとっては、ご飯は温かい方が良いですね。

シマの味、というほど味があるものではありませんが、シマはクセが無く、どんな料理にも合う素直さが魅力です。何より、色が真っ白で見るからに清潔感にあふれています。白いご飯にも通じる、素性の確かさとでも言いましょうか。灰色のインジェラに比べたら、見た目からして圧倒的に美味しそうです。

すべての外国人がシマを好んで食べるかと問われたらそれはわかりませんが、少なくとも不味いと思う要素は一切ないと思いました。米や麦と違って、トウモロコシの栽培はアフリカの気候にも合っていますから、今後もシマはザンビアの主食であり続けることでしょう。

ただし、ザンビア流のシマの食べ方を真似るのには抵抗がありました。シマをちぎり、手でクニクニとこねて団子状にしてから食べるというものです。食前に手を洗うとはいえ、わずかに残った手の雑菌がすべてシマ団子に練り込まれていくことを想像すると、ちょっとゲンナリしてしまいました。

エチオピアの食事と違って、基本的に料理は1人1皿なので、自分の手の雑菌はすべて自分で責任を持つというスタイルには好感が持てましたけど。もしかして、こうやって手の雑菌を少しずつお腹に入れ耐性を高めると同時に、毎食ごとに必ず手はきれいになる、という狙いなのかな? あるいは団子にした方が単純に美味しいということか。

エチオピアでは、複数で食事をする場合、みんなでひとつのインジェラを囲みます。大皿にインジェラ (直径50~60cm) が敷かれ、さらに人数に応じておしぼり状に丸められたインジェラがポンポンと置かれます。真ん中におかず (シチュー的なもの) が盛られるので、めいめいインジェラをちぎってはおかずをくるみ、口に放り込んでいきます。

このやり方だと、他人の手についた雑菌が自分の口にも入る可能性が極めて高くなります。おかずだけでなくインジェラ自体もしっとり湿っていますし。しかも、親愛の情の表現として、自分の手から相手に食べさせる「グルシャ」という習慣もあり、これはなかなか断りづらいです。

エチオピア人5人と1週間の地方出張に行った時も、まず1人がお腹をこわしたなと思っていたら、翌日から次々とみんな下痢になっていきました。さもありなんです。公衆衛生の住民教育をする前に、食事習慣を変えてもらわないと感染症の広がりは防ぎようがありません。

インド人やアラブ人と違って、左手 (お尻を洗う手) も普通に使っているし、地方に行ったらそもそも手を洗う水なんてないし。(←あの時の出張を思い出してまた気持ち悪くなってきた・・・)。ちなみにこの時自分が6人中4番目にお腹をこわしたのには微妙に納得いっていません。エチオピア人よりもっとデリケートだと思っていたのに。

エチオピア料理とインジェラの組み合わせは、世界最強ではないかと個人的には思いますが、インジェラそのものを無条件に他人にすすめるほどの自信はありません。美味しいインジェラも、そうでないものもありますから (エチオピア人が好む酸味の強いものは外国人にとってはむしろ食べづらい)。

でもシマだったらそんな迷いもなく、「現地に行ったらぜひ食べて!」と両手を振っておすすめできます。シマが白米だとしたら、インジェラなんて稗か粟みたいなもんだし。いや、自分は好きなんですけどね、インジェラ。

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タンザニア旅行

エチオピアからタンザニアに旅行したときの写真を別ページにアップ。セレンゲティではちょうどヌーやシマウマが北に向かって移動している時だったので、それを追うライオンも含め、びっくりするほどたくさんの動物を見ることができました。ヌーの大群にぶつかり車が立ち往生したときは、さすがにちょっと恐くなりましたが。

最初はガイドから 「木登りライオンを見ることができたらとてもラッキーだ」 と聞いていたのですが、2日間で合計8頭も見られたのには、「実は木の上につないでいるんじゃないの」 などと罰当たりなことを考えてしまいました。傷ついたハイエナを見たときは、「やっぱり自然て厳しいな」 としみじみ思いました。(→写真)

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南アフリカ旅行

エチオピアからケープタウンに旅行した時の写真を別ページにアップ。もっと食べ物の写真を撮れば良かったなぁ。(→写真)

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セイシェル旅行

エチオピアからセイシェルに旅行した時の写真を別ページにアップ。ラ・ディーグ島のほんのりピンク色の砂浜は、これ以上ないほどフワフワの踏み心地でした。なんであんなに柔らかいんだろう。プララン島は、パウダーのように極小粒の真っ白い砂浜で、世界最高のビーチと言われているのも納得でした。(→写真)

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