ワヤン・クリッ(影絵芝居)
ジョグジャカルタのソノブドヨ博物館で毎夜上演されているワヤン・クリッ(影絵芝居)を観ました。この日の演目はラーマーヤナ・エピソード8(最終幕)。
荘厳でありかつ激しくもあるガムランの音色、現地語で朗々と語られる古代神話、息を呑む影絵の動き。言葉はまるでわかりませんが、思わずグッと惹きこまれました。
ワヤン・クリッは裏からでも表からでも自由に観て良いとのこと。白黒の影絵はこの世の側で、極彩色に彩られた方があの世(極楽浄土)を表しているそうです。
もっとちゃんと意味を理解しつつ観たいなあ。
ジョグジャの夜
中部ジャワの古都ジョグジャカルタ。日が落ちたあとにぎやかな通りをそぞろ歩き。
昼間の熱気もようやくおさまり風は涼しげ。名物のナシ・グドゥッでお腹はいっぱい。
いいなあこんな夜の風景。インドネシアをリアルに感じました。
老舗の味
ジョグジャカルタはぜんぜん雨期に入らず例年より3~4度気温が高いそうですが (今日は36度)、一日中フィールドを歩きまわってヘトヘトになり、ようやく涼しい風が吹き始めた夕刻、さて何を食べようかとあれこれ考えたところ、やっぱりジョグジャカルタ郷土料理のグドゥッ (ジャックフルーツの甘煮) しかないよなあと、前々から行きたかった老舗に突撃したのでした。
お店の名前は Bu Tjitro (ブ・チトロ) 。1925年から続くグドゥッ専門店で、開業当時から変わらぬオリジナルレシピを守っているそう。グドゥッの味についてはいろんなブログでとにかく甘いと書かれていますが、ここのお店のグドゥッは甘さもマイルドで酸味もあって、とっても奥深い味わいです。もっとパクパク一気にいきたい気持ちを抑えて、ひと口ずつちゃんと味わいながら食べました。
お皿には他に鶏もも肉、煮玉子、揚げた牛皮のピリ辛煮、テンペが載っていました。牛皮の辛さも他店とはちがってかなりマイルド。「辛いの好きなんでしょ?」 と言わんばかりにたっぷりチリソースがついてきましたが、美味しかったけれどさすがに使ったのはちょっとだけ。とにかくどれも丁寧に作った料理だなあと感心しきり。さすが、90年も続くお店は違いますね!
コピ・ルアク直販
ジョグジャカルタの Mataram Kopi Luwak は幻のコーヒーとも呼ばれるジャコウネコのうんちコーヒー "コピ・ルアク" を格安で買うことができるお店 (製造直販所) です。
お店の庭には畑で捕まえたというジャコウネコ が何匹も。意外とのんびり屋なのかな。まあこれだけ捕まるんだから野生にはもっとたくさんいて、コーヒー豆をモリモリ食べて貴重なうんちをモリモリしているのでしょう。あ、軒先で天日干しされていたうんちはどれもコーヒー農園から拾ってきたものとのこと。
ジャコウネコはよく熟したコーヒーの実を選んで食べます。コーヒーチェリーって甘酸っぱくて美味しいんですよね。豆は消化されず8~9時間後に排泄されますが、ジャコウネコは他にも果物しか食べないので、干されていたカピカピのコーヒー豆はいっさい臭くありませんでした。
干した後は水洗いを繰り返し、さらに人の手で丁寧に表皮をむきます。これも地味に大変な作業。焙煎も人がつきっきりで行います。ジャコウネコのお腹で消化はされなくとも微妙な酵素の働きかなんかで、一種独特のまろやかな風味が生まれます。この風味を消さないためにも、全て手作業で仕上げるわけです。
コピ・ルアクは粉 (1人前5g) をカップに入れお湯 (150cc) をそそぎ、ひと混ぜしてしばらくおいたら出来上がり。飲む時は上澄みをそっといただきます。こんな適当な入れ方で?と思うのですが、それにしてははっきりとコーヒーの良い香りが漂います。ただ、あくまでも優しくふんわりとした味わい。
カフェインも苦味も酸味も少なくとってもマイルドなので、煎ったコーヒー豆をきび砂糖やチョコレートと一緒に食べるのも美味しいですよ。
プランバナン(インドネシアの世界遺産)
陽光に照らされていろんな表情を見せるプランバナン。自分は夕日に映える姿が好きです。
ボロブドゥール(インドネシアの世界遺産)
ブッダのレリーフで全周を覆い尽くされ、まるで宇宙が一点に凝縮されたような圧倒的なボリューム感。時空を超えた存在がそこにありました。
砂堀り労働者
ジョグジャカルタで、メラピ山周辺の砂防ダムを見学した時のこと。雨期の今でもほとんど水は流れておらず、複数の業者が河床から砂を採取していました。とり過ぎては問題なので、重機の使用は不可。ひたすら人力で砂を採取しているようです。
労働者の賃金が、トラックの荷台いっぱいにして2万ルピア (180円) だそうです。一日に5回やるとして、10万ルピア。月に25日働くとして、250万ルピア (2万3000円)。インドネシアの最低賃金は280万ルピアと聞きますから、重労働の割に実入りの少ない仕事です。
ジョグジャカルタで採取された砂は、ジャカルタまで運ばれ建設資材となるそうです。そこまで運んでもペイするのであれば、もっと労働者にお金を払ってもいいと思うのですが。
火山信仰1 ブロモ山
2億4000万の人口を抱えるインドネシアは、およそ9割がイスラム教徒です。イスラムは一神教であり、アニミズム的な山岳信仰などは本来ないはずですが、実際には今でもインドネシア各地に土着信仰が残っています。
東ジャワ州の4つの県にまたがるブロモ・テンゲル・スメル国立公園は、5万haと広大な面積を誇り、7つの火山からなっています。最高峰はスメル山の3,676mでジャワ島の最高点。ブロモ山は現在も活発な火山活動を続けています。
ブロモ山はイスラム教以前のヒンドゥー教の時代からの聖地で、周辺には、現在もヒンドゥー教徒のテンゲル人が多く住み、村には立派なヒンドゥー寺院があります。そんなテンゲル人に伝わる、ブロモ山の伝説です。
15世紀にマジャパヒッ (Majapahit) の王女ララ・アンテン (Rara Anteng) が夫ジョコ・セゲル (Joko Seger) とともに地域の統治を始めた際、二人の名前 (互いの最後 teng + ger) から領地をテンゲル (Tengger) と名付けました。
何年も子宝に恵まれなかった二人は、ある日ブロモ山に登り、神に祈ります。神は願いを聞き入れますが、その代わり、最後の子どもはブロモ山の火口に捧げるよう命じました。
その後二人は25人の子どもをもうけましたが、約束を守ろうとしませんでした。すると神は怒り、ブロモ山は火を噴き石の雨を降らせ、領地の人々を苦しめたのです。やむを得ず二人が子どもを差し出すと、これから毎年火口に捧げ物をするよう、神の声が聞こえました。
以来、現在もテンゲルの人々はこのセレモニーを続けています。毎年多くの観光客を迎えるブロモ山ですが、山頂に登った人々は、願いを叶えるため火口に花束を投げ入れるのだそうです。
火山信仰2 メラピ山
メラピ火山周辺には、数多くの物の怪が住むと言われています。そのうちもっとも知られているのがニャイ・ガドゥン・メラティ (Nyai Gadung Melati)。彼女はメラピ物の怪軍団のリーダーであり、地域の守護神であり、また生態系のバランスを保っているとされています。
ニャイは時に人々の夢に現れますが、それは来たるメラピ山噴火の予兆だと信じられています。ニャイの姿はジャスミンの葉の色をした緑色の衣をまとった、絶世の美女なのだそうです。
ジャワでもっとも美しい仏像
インドネシア観光のハイライトのひとつボロブドゥールは、まるで宇宙を一点に凝縮したようなその空間的密度に圧倒されますが、カメラのファインダーでディティールを切り撮ってみると、意外とひとつひとつは普通というか、グッと魂が持っていかれるような驚きはありません。
例えが合っているかわかりませんが、ボロブドゥールは本のようだと感じます。ボロブドールの一面に彫られたレリーフは膨大なストーリーを語っているのであって、漠然と眺めただけでは何もわかりません。ちゃんとそれを読み取るつもりで臨まなければ、おそらく20分か30分で飽きてしまうでしょう。
そんなボロブドゥールの周辺には、いくつもチャンディ(寺院)があります。その中にあって、ガイドブックによっては「世界でもっとも美しい仏像のひとつ」とも言われるのがムンドゥッ寺院の如来像です。そう言われるとそんな風に見えてしまうのが素人の悲しいところですが、何かを語りかけてくるような、造形の美しさが確かにありました。
キノコ料理専門店
ジョグジャカルタ郊外にキノコ料理専門店があります。キノコのサテ、キノコのカレー、キノコと野菜の炒め物。予想に反し野趣に富んだ濃厚な味は食べ応えも十分。帰りはキノコの揚げ菓子を3種類購入。こちらもナイス。
バッソの故郷 ウォノギリ
中部ジャワ州のウォノギリという町に行きました。何か名物料理はないかと調べたところ、どうやらバッソ (Bakso バクソ) がそれっぽい。
バッソといえば、インドネシアのおよそあらゆる街角で食べることができる肉団子スープです。それらのお店・行商人の多くが、ウォノギリか東ジャワ州マランの出身者なんだそうです。
つまり、ウォノギリの名物がバッソとは言っていませんが、バッソ屋の半分はウォノギリ人だと。ならばウォノギリはバッソの故郷。さぞや美味しいお店があることでしょう。
ということで、ソロの空港に夕方6時に降り立ち、ウォノギリまで車で1時間半移動、ホテルにチェックイン後、評判の良さそうなバッソ屋を目指して歩きました。
しかーし、8時にお店に着いたらすでに閉店。Google Mapには9時までって書いてあるのに。まあスープがなくなったら閉めちゃうんだろうな。きっと人気店だ。残念。
翌日のお昼は、訪問先のインドネシア人スタッフと食事。まあこちらからお店は選べないですよね。彼らもちゃんとしたご飯が食べたいだろうし。
結局ウォノギリでバッソは食べられませんでした。なお、一緒に行ったスタッフに聞いたら、「ウォノギリの名物がバッソ?ないないw」と言っていました。なんなんだこの反応は。
写真はジャカルタでまあまあ人気のあるバッソ屋さんのもの。店名はソロ(Bakso Total Solo)。中部ジャワ州の州都(今はスラカルタ)ですね。団子とスープはとても美味しかったです(麺はしょぼい)。
ウォノギリのチキン
ウォノギリでは、到着した日の夜と、翌日のお昼の2回しかご飯を食べませんでしたが、メインはいずれもチキンでした。
そして2回ともその形状が大胆というか、大雑把というか、まあでもインパクはすごいなと。もも肉なんですが、そのまま爪先まであるという。
これがウォノギリの流儀だ!(知らないけど)
ソロご飯
旅先で何を食べるか。いつも真剣に考えます。逆に食べたい料理ありきで行先を決めることも。
そしてソロ。自分にしてはリサーチが浅く、果たしてこれが正解だったのかわかりませんが、Adem Ayemでナシ・リウェッ(ココナッツカレーご飯)、ソト・ババッ(牛モツスープ)、Bakso Mangkunegaranでバッソ(肉団子スープ)をいただきました。
どれも美味しかったですが、正直、ジャカルタで普通に食べられるものばかり。ジャワ島だからそんなに変わらないんですよね。でもジャカルタよりちょっと美味しく、ちょっとお安いので、お得感はありました。
どれもB級っぽいのは、インドネシア料理がそもそもこんな感じなのか、自分にはこれが定期運行なのか。高いお店ももちろんありますけどね。まあ行かないな。
ジャコウネコ
ふたたびジョグジャカルタのコピ・ルアック直販所 Kopi Luwak Mataram に行きました。もうジャコウネコの魅力にメロメロです。(*´∀`*)
漆黒の鶏 Ayam Cemani
闇夜のカラスという言葉がありますが、真っ暗な夜、こいつに出会ってもまず判別はできないでしょう。インドネシアの黒い鶏、Ayam Cemani です。日本ではアヤム・セマニと紹介されていますが、ジャカルタの人に聞いた発音はアヤム・チュマニ。
ジャカルタにもこれの養鶏場があるという情報で、以前、タクシーのおじさんと一緒にその辺りを2時間ほどうろうろしましたが、ついに発見できず。たぶん閉業したんだろうなと。その後も時々思い出してはいたのですが、先月ボロブドゥールに行った時、敷地内の博物館の中庭に、なんと真っ黒な鶏がいるではないですか。しかもつがい。思わずかけ寄りました。
いやあ、どうですか、この凛々しい姿。真っ黒に輝いているというか。世界一イケメンなニワトリ決定ですね。これはもはや食べるよりも愛でるべきでしょう。飼いたい。なんとか卵を手に入れられないものか。
他にも鶏がいろいろ。