トニーローマ@サウジアラビア
2007年、ドバイに続き中東の拠点としてリヤドにオープンしたアメリカンスタイルのカジュアルレストラン「トニーローマ (Tony Roma's)」。世界30ヶ国で190店舗を誇る人気店だそうですが、さて、お味の方はどうなのでしょう。かなり期待しつつ、オレイヤロードのお店に行ってみました。
■トニーサンプラー/ハーフ (前菜)
オニオンローフ、レッドホットバッファローウイング×4 (手羽先)、スピナッチディップの盛り合わせ。迷いましたが、とりあえずハーフサイズを注文。しかし運ばれてきたお皿を見て唖然としました。「これ、ハーフ?!」思わずそう店員 (フィリピン人) にたずねると、「イエッサー!」と力強いお返事。すかさず「テイクアウトできますから!」と言ってきたので、やはり食べきれないお客が多いのかもしれません。フルにしなくて良かった。
名物のオニオンローフは3種類のソースで食べ進めればパクパクいけますが、もう少しサクッと揚がっていれば最後までおいしく食べられたかもしれません。手羽先の唐揚げはほとんどタバスコ味。アジアの辛い発酵調味料に慣れた舌だと、タバスコの味はどうも薄っぺらい気がします。酸っぱすぎるし。スピナッチはクリームの方が勝っていてとことんこってり系。いや、それぞれはおいしいんですけど、きっと腹ぺこの高校生ならむさぼるように食べると思うんですけど、いかんせん量が多すぎ。半分食べて味に飽きてきた頃にメインディッシュが出てきたので、残りはテイクアウトすることにしました。
■ビーフリブ/4本
ハーフ (骨3本分) だと少ないかなと思って、ハーフ+1本にしました。ソースはオリジナルを選択。そして運ばれてきたお皿の上には、かなりの大物がドッカリ横たわっています。前菜でけっこうお腹に来ていたのですが、しかしそれでも思わず 「うまそー!」 とつぶやいてしまいました。
立ちこめる甘酸っぱい匂いに期待しつつ1本目に手を伸ばし、ガブリと一口。「うまい!、けど…、甘い…」 トニーローマ秘伝のオリジナルソースだそうですが、アメリカ本店と同じ味なのかなこれ。なんと言うか、ケチャップと砂糖と酢を煮詰めたような味で、これはこれでおいしいのですが、なにしろ味濃すぎ、たっぷり塗りすぎです。肉の味がほとんど感じられません。
そうは言っても、最初の1本はやはりガツガツと食べました。骨に付いたパリパリの膜のようなものがおいしくて、丁寧に歯でこそげ落とすように食べていたら、骨は見事に真っ白に。しかし2本目で早くも躊躇してしまいました。ソースのどぎつい甘酸っぱさに舌はしびれ、脳が 「ここで止めといたら?」 という危険信号を発していました。
どうせテイクアウトするなら2本も3本も同じでしたが、店員が笑顔で 「味の方はどうですか?」 と聞いてきた時に、こちらも思わず 「あぁ、最高においしいよ!」 とビシッと答えてしまったものですから、ここで手を止めてはいけないような感じになってしまい、ちょっと無理して2本目を食べることに。優しさ (あるいは優柔不断) が自分の首を絞めるパターンですね。
結局、前菜もリブも半分はテイクアウトすることになりました。これがいわゆるアメリカンサイズなんでしょうか。ハーフという表示に完全にしてやられました。今回店内で食べられたのはハーフのハーフでほとんどクオーター (4分の1) くらいだし、一緒に出てきた大きなパンと大盛りのトルティーヤチップスにはとても手をつけられませんでした。
もしリブがシンプルに塩コショウで焼いたものだったら、あるいは4本全部食べられたのかもしれませんが、BBQソースはトニーローマの命ですから、そこを否定してしまうのはダメなんでしょうね。肉 (オージービーフ) 自体はおいしいと思ったので、今度はステーキに挑戦してみようかなんて考えています。
ちなみに家に持ち帰った料理はソースの匂いが鼻についてもうまったく食べる気が起きなかったのですが、半額 (1500円) 捨てるのはもったいないと、かな~り無理してその日のうちに食べ切りました。翌日は一日中胸がムカムカして、気道が狭くなるような息苦しさもありました。よほど添加物が多かったのかも。感想は、「一口目はおいしい」。
トニーローマ再び
前回、BBQリブを食べた時にうすうす感じた、「シンプルなステーキの方がおいしいんじゃ…」 という推察を確認しに、先日人を誘ってまたトニーローマに行ってきました。今度は3人だったので前菜の盛り合わせもハーフではなくフルを注文。さすがにでかい。必死にタマネギフライをほおばりました。
ステーキはサーロイン (280g) をチョイス。もちろんレアで。店員が「え、ウエルダンじゃないの?」と聞いてきましたが (アラブ人はウエルダンが基本)、しつこく「レアで」と繰り返しました。中東だとレアと言ってもミディアム、ミディアムと言ったらウエルダンくらいに焼かれてしまうのでこう言いましたが、焼き加減はきっちりレアでした。お見事。
280gはまあまあの量だと覚悟していましたが (4種あるステーキはみんな300g前後)、食べてみると肉自体がおいしくて、それからペッパーソースが絶妙に自分好みの味だったので (一緒に行った人は辛すぎると言っていた)、あっという間に完食してしまいました。肉は火を通しすぎない方がおいしいですね。そうするとやはり究極はエチオピアの生肉!?
オニオンスープもいけました。スタイルはフレンチオニオンスープ風ですが、そこまでタマネギを炒めていないしスープもクリアー。チーズはなぜかブルーチーズ風味でしたが、これがサッパリ味のスープと合っていて軽く感動するくらいおいしかったです。今度自分でもやってみよう。
TGIフライデーズ@サウジアラビア
トニーローマに続いて、アメリカンカジュアルダイニングの世界的チェーン店「TGIフライデーズ」の紹介です。以前レストランの外観を車で走りながらチラ見した時は「立派なハンバーガー屋?」くらいにしか思わなかったのですが、調べてみたら日本語のホームページもあって、世界60ヶ国で900店以上展開しているとのこと。トニーローマがちょっと微妙だったので、今度こそというつもりで行ってみました。場所はリヤドのリングロード・イーストのExit10から東に延びる道を進むと、最初の交差点の角にあります。
■フレンチオニオンスープ
店の雰囲気からして、8リヤル (200円) というのは安すぎるような。しかもとってもおいしいし。キャンベルのスープなのかな。まぁ別に嫌いじゃないからいいですけど。
■ローデッドポテトスキン
ジャガイモとチーズとベーコンの組み合わせは文句のつけようがありません。おいしくないわけがない。しかし量が多い。これでもハーフサイズ。
■ベイビーバックリブ
本家はポークみたいですが、さすがにサウジはビール (子牛) です。まず、うたい文句の 「骨から落ちてしまうほど軟らか」 に偽りなし!。BBQソースは日本の焼き肉屋の甘ダレ風で、トニーローマのケチャップ系より断然いいと思います。
骨を手で持って肉にかぶりついた瞬間、あふれる肉汁と甘いソースのマッチングに思わず 「旨いっ!!!」 と叫びそうになりました。夢中でガツガツと食べ進めながら、心の中では拍手喝采です。
ただし量が…。ハーフ/フルの表記がなかったので普通に一人前と思って注文したのですが、テーブルに運ばれてきた実物を見て目が点になりました。ここ10年で一食分の量を見誤った度合いでは断トツナンバーワンです。横幅25cmありますから。これ、アメリカ人は一人で全部食べるのかな?
食べきれなかった料理をテイクアウトした帰り道、スターバックスによってダブルモカマキアートを買いました。うまい肉をたらふく食べて、スタバのコーヒーを飲んで、そして思ったこと。「これが、アメリカンドリームなんだろうか…?」
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たぶん違う
ファドラッカーズ
これまでハンバーガーといえばマクドナルドのようなチェーン店でしか食べたことがありませんでしたが、リヤドにはいくつか本格アメリカンハンバーガーの店があって、前から興味があることはあったので、その中でも無難そうな 「ファドラッカーズ」 に行ってみました。
ピザとかグリル料理もありましたが、やはり目的はハンバーガー。店員におすすめを聞いて、素直にそれを注文しました。肉の大きさは一番小さい1/3ポンド (148g)。小さいといったって、すでにクォーターパウンダー (1/4ポンド) を越えているんですけど・・。
この上は1/2ポンド、2/3ポンド、そして堂々の1ポンド (453g)。メニュー写真を見ても、1ポンドは冗談としか思えない大きさです。(ちなみにホットドッグも長ーい)
注文後はしばらく時間がかかります。これも注文を受けてから肉を焼き始めるからこそ。その間、ハンバーガーにはさむための野菜をサラダバー感覚で取りに行きます。トマト、玉ネギ、レタスなどがスライスされて大量に並べられていました。もちろんどれだけ取ってもOK。
10分後、テーブルに運ばれてきたハンバーガーは、もうこれ以上ないくらい、見事にカロリーの塊でした。厚い肉の上にとろとろチーズとかりかりベーコン。ご丁寧にパンまで油で焼いてあります。ポテトウェッジにもチリコンカルネとチーズがたっぷり。
見ているとそれだけで満腹になりそうでしたが、意外や意外、黒コショウが効いたマッシュルームと絶妙な塩加減のおかげで、最後まで飽きずにパクパク食べられました。
でもそもそも厚いので、ここにトマトや玉ネギをはさんで食べるのはかなり難しく (ぽろぽろ落ちてしまう)、結局野菜はそれだけで (サラダ感覚で) 食べました。
それにしても、マクドナルドとは別次元の食べ物ですね。単純に量から言っても、ああいうチェーン店のハンバーガーはおやつで、こちらはちゃんとした食事という感じ。こんなのを頻繁に食べていたらあっというまに太ってしまいます。
ということで、ちゃんと作ればハンバーガーっておいしいんだなぁと、目から鱗の一食でした。
後日食べたホットドッグ。こちらも食べごたえ十分でした。
東京レストラン
東京レストランはリヤドで昔から営業を続ける日本料理の老舗です。当時はやはり日本人や欧米人の方が多かったと思いますが、今回リヤドに再赴任して何度か行った限りではサウジ人の客がけっこう入っていて、なんだか感慨深いものがありました。
昔は、「お寿司は食べたいけれどちょっと高いしなぁ、日本に帰るまで我慢するか」といった感じで滅多に行かない店でした。その値段を払うならもっと他に選択肢があったし。今回もその時の記憶を引きずっていて、この1年でも数えるほどしか行っていなかったのですが、最近100リヤル (今日のレートで2400円) 前後の食事が続いていたので、あらためて東京レストランのコストパフォーマンスの良さがわかりました。というか13年前とくらべてほとんど値段が上がっていないのでは?
1枚目の写真は「幕の内弁当」。税込み70リヤル (1700円)。鮪と鰆のお刺身、海老と白身魚の天ぷら、野菜かき揚げ、鶏と魚の照り焼き、コロッケ、サラダ、酢の物、お新香。おみそ汁、ご飯、デザートの自家製抹茶アイスがついてこの値段は、オルーバロードにあるレストランの相場としてはかなり安い方です。
近所のアラブ料理店3軒 (バールベック、ブルジュルハマーム、フィシャーウィー) より間違いなく安くておいしいです。最近アラブ料理に食傷気味だったので本当にしみじみそう思いました。でも、日本に戻ったら食べられないということで、結局またアラブ料理屋に行くわけですが。
ここ3週間外食を続けていますが、一番のヒットは東レスの幕の内弁当と言っても過言ではありません。見た目も断トツにきれいです。ただし、やはり量が多い。量は半分で値段も半額というわけにはいかないもんでしょうかねぇ。(2枚目の写真は蕎麦寿司セット)
スシヨシ
最近ガッカリしたこと。リヤドのタハリヤストリートにできた 「スシヨシ」 で食べたカニのみそ汁がカニカマだったこと。
カニなんてスーパーでいくらでも売ってるでしょうに。もうちょっと頑張ってくれ、フィリピン人。寿司もギュッと握りすぎ。こっちは素人だけど、たぶんもっと上手く握れるぞ。寿司ってご飯の塊に刺身を載せただけじゃないんだからね。けっこう技がいるのだよ。昔小僧寿司でバイトしてた頃が懐かしいぜ。
なんて、ちょっとプンプンしてしまいましたが、逆にこれはビジネスチャンスかもと思ったりもしました。こんなレベルでも欧米人がけっこう来ていたし、もっとおいしい、というか普通のお寿司を出せれば大当たりするんじゃなかろうかと。
ソレハナイヨ
リヤドに10軒くらいある中華料理屋の中でもおいしいと評判の 「リヤドチャイニーズレストラン」。1年前に食べたスープヌードルがおいしかったなぁと思い出して、また久しぶりに行ってみました。わくわくしながら待つこと10分。
しかしようやくテーブルに運ばれてきたものを見た瞬間、急速に食欲がなくなっていく自分がいました。
こういうのはガラスの器に盛ってはいけないと強く思いました。というか、上から見た写真ですらすでに残ぱ… (泣)
麻婆豆腐狂想曲@ゴールデンドラゴン
エチオピアで中国人コックが同胞のために作る庶民的かつ本格的な中華料理を味わったことと、去年から香港に行く機会が多かったので、酒も豚もないリヤドで中華料理などとても食べられないとは思っていましたが、このところ無性に麻婆豆腐が食べたくなり、「ゴールデンドラゴン (Golden Dragon)」に出かけました。
ここの麻婆豆腐はおいしいと人づてに聞いていたので、かなり期待していました。餃子も肉汁たっぷりで本格的。ワンタンスープもさりげなく美味。しかし肝心の主役は、どう見ても麻婆豆腐ではなさそうな料理でした。
「これ、麻婆豆腐?」思わず店員 (たぶんインドかバングラ) にそう聞いてみたのですが、「イエス、ボス!」 と自信満々に言われてしまいぐうの音も出ませんでした。味は、別物としてもちょっと…。というより自分は揚げ豆腐があまり好きではないのかな。
この "麻婆豆腐事件" がどうにも納得できなくて、先日ここで麻婆豆腐を食べたという人にメールで写真を送って確認すると、やはりその人が食べたものとは違う料理とのこと。逆にある意味ホッとして、ならば再び麻婆豆腐を食べに行かねばなるまいと、鼻息も荒いまま再びお店に駆けつけたわけです。
注文を取りに来たのは前回と同じ店員でした。彼もこちらの顔を覚えていて、オーダーを麻婆豆腐と伝えると、次のような会話になりました。
「あぁ、この前のと同じですね」
「いや、あれはカントリースタイルの方だろう、マーボースタイルをくれ」
「マーボーはあれですが」
「ノー、あれはカントリースタイル、自分が食べたいのはマーボースタイル」
「えぇと、豆腐がこれくらいの形で、フライになっていて…」
「フライじゃないやつ、マーボーはフライになってない」
「でもあれが…」
「とにかくこの前のとは違う方にして」
「じゃあ、チャイニーズスタイルですね」
「ん?」
「トウフ・チャイニーズスタイルですね」
「いや、マーボーなんだけど…、まぁいいや、それで」
メニューに豆腐料理はカントリースタイル (Tofu Country Style) とマーボースタイル (Tofu Mapo Style) のふたつしかありません。まさか 「第三の麻婆豆腐」 が出てくるのでは、と一抹の不安を覚えましたが、結果、ついに念願の麻婆豆腐を食べることができたのでした。
「ボス、これがマーボーです」
「パーフェクト、これだよ、食べたかったのは」
「ボス、今日は勉強になりました」
「OK、OK、ノープロブレム」
「前回はベリーバッド、でも今日はベリーグッドでしょう」
「そうだな、ありがとう」
パーフェクトと言ってあげたものの、2品しかないんだからそれくらい覚えといてよ、と思わないでもなかったのですが、まぁ、この若い店員もほめられて伸びそうなタイプだったし、最後はちゃんと食べられたんだから細かいことは気にしない、ということで。それよりいったい何人の人が違う麻婆豆腐を食べさせられたのかと、他人事ながらちょっと心配になってしまいました。
さて、お味の方はというと、花椒も使っているし、これはなかなか美味しかったです。
麻婆豆腐@ガルフロイヤル
リヤドの中華料理屋では老舗と言ってもいい「ガルフロイヤル (Gulf Royal)」には、当時、家から近いということもあって月に1~2回行っていました。料理がどれも甘ったるくて、口の悪い人は「フィリピン中華」などと言っていましたが、かといって決してまずいわけでもなく、いいメニューを選べばほどほどにおいしく、それなりに満足できていました。今回、13年ぶりに行ってみようと思ったのは、先日の麻婆豆腐食べ比べがどれもいまいちだったからです。
しかし今回の目的は麻婆豆腐。ピリッと辛味の効いた麻婆が食べたい自分としては、かなりの不安を抱えつつお店に入りました。まずは蒸し餃子 (肉&エビ) を注文。味の方はというと、うーーーん、かなーり疑問。肉は細かく挽きすぎていて、さらに蒸しすぎのため旨味が全部抜け出ています。エビの方はあまりにもパサパサで、きっとエビを茹でてから細かく挽いたんだと思いますが、こちらも旨味は何もなく、2個食べても「鶏肉?」と思っていたくらいです。
なんだか当時よりもさらにレベルが落ちていたので、麻婆豆腐もどんなものが出てくるのかヒヤヒヤしながら待っていたのですが、テーブルに運ばれてきたそれは、見た目にはとても立派な麻婆豆腐でした。少し嬉しくなって、「どれどれ」とおもむろに豆腐をひとつパクリと口に放り込むと、豆腐自体は今までのお店とくらべても悪くない。が、しかし、…甘い、そして酸っぱい、さらに相当辛い。ついでに言うと深みのない表面的な辛さ。花椒も使っていません。
「コレハナンダ?」と首をかしげつつ食べ進めていると、しばらくして、ふと、これはタイ料理の味だと思いあたりました。酸味と甘味が強烈で、さながらトムヤムクンのような味つけです。そう考えて食べると、これはこれでアリかなとも思いましたが、でも、決して自分が思い描く麻婆豆腐ではありませんでした。前はフィリピン中華でしたが、現在はタイ中華になったということでしょうか…?
料理というのは常に人々の嗜好に応えなければならない宿命があって、そうでなければ淘汰されてしまうわけですから、当然、味も変わって然るべきだと思います。特に中華料理は世界中に進出して各地で根付いていますから、味の振れ幅が大きくなるのは仕方ありません。たとえサウジの中華料理に不満を感じたとしても、それは料理がまずいのではなく、ただ自分の嗜好に合わないだけです。実際、ガルフロイヤルはもう20年以上続いているわけで。
なんて理屈をこねて自分を納得させようとしていますが、やっぱりこの麻婆豆腐の味つけはちょっと悲しすぎました。豆腐がおいしかっただけに、惜しい。餃子はさすがに論外ではないかな。断言する自信はありませんが。
インドカレー屋で一喜一憂
最近行った2軒のインド料理屋で感じたことは、やはりインドカレーは作りたてでスパイスの香りがフレッシュな方がおいしいということでした。1軒はリヤドのタハリヤ通りにある重厚な店構えの高級店、「Copper Chandni」。その外観に違わず出てくる料理もなかなかのお値段です。その日は軽く食べようと思ってチキンビリヤニとダルしか頼みませんでしたが、それでも本場の味を十分に感じることができました。
スパイスがかなり粗めに挽いてある感じで、口の中で 「いま黒コショウを噛んだ、あ、カルダモン、これはクミン、げげっ、クローブ噛んじゃったよ」 などと分かるくらいのザックリ感。トータルではまとまっていながらも、非常に荒々しく鮮烈なイメージの料理でした。特にダル。こんなにスパイスが入って (乗って) いるのは初めてでした。しかも旨い。これが本場の味なのかと感動する一方、ここまで荒々しいと外国人は好き嫌いが別れるだろうなとも思いました。
数日後に行ったもう1軒は「Makani」という庶民派のカレー屋。場所柄か、客は全員サウジ人の若者でした。頼んだのはマトンカレーとパニール (カッテージチーズ) のカレー。羊肉はそれなりに食べつけているつもりでしたが、近頃滅多に食べないような臭いの強い肉だったので、嬉しいと言えば嬉しいし、さすがにもうこのレベルは辛いかなと思ったりもしました。
味は個人的にあまり好きではないブラウンソース系の味だったのでなおさら厳しかったです。良く言えばスパイスが渾然一体となって熟成の味わいですが (カレーマルシェっぽい)、もう少し各スパイスの個性が感じられた方が好みなので。
それより問題はパニールの方で、見た目も味もどう考えてもカレーではなくピザソースでした。ピザソースに軽く揚げたチーズを入れているだけ。かすかに見える緑色の葉っぱもたぶんバジルで、こうなるとほぼ100%イタリアンです。ここにクミンを入れるだけで一気にインドっぽくなるとは思いましたが、マイ・クミンなど持っているはずもなく、最後まで納得いかずに食べました。
そもそもインドカレーというものはインドにはないわけですから、別にどう作ったって自由とはいえ、さすがにここまでかけ離れたものは初めて食べました。やはりインド料理はインドっぽいスパイスが効いていてほしいし、できれば香りがフレッシュな作りたてを食べたいわけです。たぶんこの店の味が好きな人はいると思いますが (実際サウジ人でにぎわっていたし)、自分にはちょっと合いませんでした。
タイ料理@ビラレストラン
1週間も肉食が続くと、もうなんだか明らかに体調が悪くなります。寝覚めは悪いしお腹は張るし。そんな時に行くのがリヤドのDQ (外交団用地) 手前にある 「ビラレストラン」。空芯菜とパッタイがお決まりのメニューです。空芯菜を食べると次の日は心身ともにすっきり。まぁすっきりというかどっさりというか、とにかく効果てきめんです。
しかし空芯菜はモーニンググローリー (Morning Glory=朝顔) と言うんですね。本当に朝顔の仲間なんでしょうか。茎はもっと太いですけど。口の悪い人は、「空芯菜なんてチャオプラヤー川から引っこ抜いてきた雑草だぞ」 などと言いますが、とにかくこの食感が好きで、野菜嫌いの自分がパクパク食べられる数少ない青菜です。
やっぱりアジアはいいなぁ。
フィッシュ&チップス
サウジアラビアのイギリス人コミュニティーがウェブサイトを立ち上げてリヤドの生活情報を公開しているのですが、レストランのページにはやはりと言うべきかイギリス料理のレストランはひとつも載っていません。その代わり、「フィッシュ&チップス」 のお店が2軒あったので、その名もずばり 「フィッシュ&チップス」 というまったくひねりのない名前のレストランの方に行ってみました。
お店で頼んだのはコッドフィッシュ (タラ) のフライ (30リヤル=720円)。もともとフィッシュ&チップスは大好きなので、最初こそテーブルに運ばれてきたフライの巨大さに唖然としたものの、マヨネーズやピリ辛のタルタルソース、後半は赤いビネガーをふりかけて、あっという間に平らげてしまいました。山盛りのチップスは食べ切れませんでしたけど。
率直に言えば、とてもおいしかったです。揚げ方もバッチリ。衣サクサク、身はプリプリ。クセがなく甘味のあるタラの身は、口の中でとろけるおいしさでした。これが揚げすぎていたり古い油を使っていたりすると途端に世界最悪の食べ物になりますが、これはもう100点満点。あとはせめて少しでも野菜がついていれば完璧な一皿なのに。
■魚の暗号
初期キリスト教では、迫害を恐れた信徒たちによって、魚が信仰あるいはキリストを表すシンボルマークとして暗号的に使われていました。Wikipediaの 「イクトゥス」 にも歴史的な経緯が記されています。
このことを知ったのは、ヨルダンにいた時です。どこかで見た車のバンパーに、2本線で表した魚のようなマークが書いてあって、気になって調べたらキリスト教のシンボルだということがわかりました。現代でも欧米では普通に使われているとのこと。
そしてこの「フィッシュ&チップス」というお店の看板、しっかりその形なんですね。イスラム教以外をまつることは一切許されない国、サウジアラビア。教会を建てるなど以ての外。多人数で集まってミサをすることも、十字架を外部に向かってディスプレーすることも厳禁です。そんな土地でこのマークを見つけてしまい、一瞬ギョッとしてしまいました。
お店のオーナーの意図はわかりませんが、サウジ当局は気づいていないようですね。魚が商品なんですから、デザインとしてはごく普通のものだし。しかしあらためてこの暗号が知られた場合、いったいどうなるのでしょう。
幻のチーズ モンドール
中東では歴史的にヨーグルトやチーズなど乳製品が食べられてきました。アラブ人の生活にチーズは欠かせない一品で、ここサウジアラビアのスーパーマーケットでも、ヨーロッパから輸入された様々なチーズが所狭しと陳列されていて目を楽しませてくれます。日本よりは値段もだいぶ安いので、今までいろいろなチーズを食べてきました。その中でも特に好きなのが、カマンベール、エメンタール、ゴルゴンゾーラ。同じ牛乳を原料として、よくもまぁこれだけタイプの違う、しかもおいしいチーズができるものです。そのまま食べて良し、熱を加えても良し、料理に使っても良しと、まさに万能選手。我が家の冷蔵庫には常にチーズが入っていました。
しかし、あぁ、しかし・・・。ウォッシュタイプのチーズだけは、何度かトライしたのですがその度に挫折していました。ある年、グルメの知人がフランス旅行に行くというので、「おいしいチーズ」をお土産にリクエストしました。買ってきてくれたのは「ポン・レヴェック(Pont-l'Eveque)」。「ウォッシュタイプだけど食べやすい方だから」と言われてポンと渡されたのですが、受け取った瞬間、うっすらと漂うその臭いに「うっ…」と息が詰まってしまいました。おそるおそる包みを開けると、タクアンというかフランス人の足の裏 (←嗅いだことないけど) というか、そっち系の強烈な臭いが鼻をつきます。フォークの先に取って、目をつぶり口に運んでみると、鼻をつく臭気がプーンと広がり、とても飲み込むことは出来ませんでした。
その2年後、フランスに旅行する機会があり、「今度こそは」という覚悟を持って、再びウォッシュタイプのチーズを買ってみました。選んだチーズは「ラミ・デュ・シャンベルタン (l'Ami du Chambertin)」。ナポレオンが好んだとされるブルゴーニュ地方のワイン「シャンベルタン」の「友」という名を持つチーズです。しかし、やはりこれもその臭いにまず負けて、そしてひと口食べて「・・・・・・」。結局、その後もずっとウォッシュタイプだけは避け続けることになりました。
あの時の玉砕から何年もたちましたが、最近、食べるチーズが固定されてきたなぁ、冒険してないなぁと思っていたので、何か食べやすそうなウォッシュタイプのチーズはないかと再びインターネットを検索してみました。そうして、「幻のチーズ」「常温でトロトロのチーズ」「モミの木で巻かれたチーズ」と一部で熱狂的な評判を得ている「モンドール(Mont d'Or)」を見つけました。日本では流通量が少なく入手しづらいようですが、リヤドのスーパーに行ったら1軒目で発見、すぐに購入しました(400g/1800円)。
家に戻ってあらためて見てみると、インターネットに書かれていたような「木の箱から取り出せないほどトロトロ」ということはまったくなく、しかも表面の皮がコンコンと音がするくらい固かったので、やや不安になりました。ウォッシュタイプだけれど表面に白カビが生えているというのはその通りですが、ウォッシュタイプ独特のツーンとくる臭いがほとんどありません。食べやすそうだなとは思いつつも、どこかであの強烈な臭いを求めていた自分もいて、ちょっと残念な感じがしました。ただ、初めて口にする自分にとってはクセ弱めが丁度いいと思うようにしました。
ナイフで表面の皮を切って穴を開けてみると、中はトロトロというよりベトベト。しかしそのベトベトさは確かにこれまで見たことのない感じです。スプーンですくい取って口に運んでみると、熟成の進んだカマンベールのような風味で、コクがあってクリーミー、しかしひと癖あってもっと複雑な奥行き感のある味は、他では味わったことのないものでした。チーズの良いところを全部詰め込んだような堂々たる味わいには、「これこそチーズの中のチーズ」と思わせる力が。
それほど塩味もきつくなかったので、けっこうペロリといけてしまいそうだったのですが、賞味期限ぎりぎりまで熟成を進めて味の変化を見てみようと思ったので、後ろ髪を引かれつつ封をして冷蔵庫にしまいました。ちなみに、切り取った皮はオリーブオイルをふりかけレンジで30秒チン。カリカリになったのをおいしくいただきました。いやぁ、チーズって奥が深いですねぇ。
クリスピークリームドーナツ
新宿のお店ではいつも大行列を目にして買うのを諦めていたので、食べるのはここサウジアラビア (リヤド) が初めてです。自分が買いに行った時はベールをかぶった女性3人が時間をかけて選んでいました。サウジ人にも大人気のようです。
オリジナルグレーズド1個4リヤル(120円)/1ダース35リヤル(1050円)、その他のドーナツ1個5リヤル(150円)/1ダース45リヤル(1350円)。この日は各種ミックスで12個ゲット。
家に戻り、早速オリジナルグレーズドから食べてみました。まず表面にかかっているシロップがとても良い香りです。ひと口パクッと食べてみると、まさにしっとりふわふわな食感で、パサツキ感はゼロ、口の中でとろけていきます。
全然油っこくなく、あっという間に1個食べ終えました。これはおいしい。続いてオールドファッションチョコレート。食べ進めるとほろほろと崩れていくもろさと、チョコのほろ苦さが新鮮でした。これもおいしい。
この日は3個食べたところで手を止めました。けっこうしっかり甘かったので満足感大。日本では「甘くないスイーツ」が好まれる傾向がありますが、これはどうなんでしょう。国によって甘さを変えたりしているのかな?
サウジアラビアご当地マック
健康生活を目指している時にこんなことを書くのもなんですが、サウジアラビアにもご当地マックがあるのでちょっとご紹介。マックアラビア (McArabia)。コフタを食べるんだったら普通のレストランの方がずっとおいしいと思いますが、これはこれでいつか食べてみたい。
マックアラビア実食
普段と何ひとつ変わらないサウジアラビアの1月1日。ちょうど木曜日なので週末の休みでしたが、土~水なら普通に働いているところでした。お昼はマクドナルドで McArabia (マックアラビア) をテイクアウト。ビッグマックよりはずっとおいしいですが、平たいパンケーキを半分に折っているだけなので、食べている最中にポロポロと中身が落ちてきて少し食べづらかった。ここは要改善。
一緒にデーツジュースを飲みました。シャンペンのようにポーンとフタを開けて、ちょっとだけハレの日の気分にひたりました。明日からサウジは寒くなるらしいです。
リヤドレストラン情報
上記以外にもリヤドにはいろいろなレストランがあって、任期の最後にそれらをまとめたガイドを作りました。旧ブログ「shukran@world」(ココログ) ではPDFを載せていたのですが、今のブログ (はてなブログ) はPDFを直接ブログに置けないようなので (Googleドライブなどでのファイル共有になってしまう)、1ページずつJPEGにしました (計3ページ) 。