A Dog's World 

~海外で暮らす・日々の記録・旅の記憶~   

サウジアラビアのグルメ:アラブ料理

イラン料理@シラーズ

リヤドのタハリヤストリートを1本入ったところにある、Sheraz (シラーズ) というレストランでイラン料理を食べました。といってもいわゆるアラブ料理なので、普段食べているトルコ料理やレバノン料理とくらべてもそんなに目新しいものはありません。メニューを見つつ、何かイラン料理らしいスペシャルな一品を教えてくれと店員にさんざん聞いたのですが、メニューにわざわざシェフのおすすめと書いてあるペルシャ風キャセロールとか一連の料理にはまったくふれず、普通にケバブとかミックスグリルをしきりとすすめられたので、そうなのかなぁと思いつつ、結局無難なケバブを選んでしまいました。

注文したもの
・ホンモス
・クークー (ほうれん草のチーズのせ)
・イラン風キノコスープ
・スルタン風チェロケバブ
・イランティー

普段行くような店より料理の値段は倍以上 (といってもそんなに高くはありませんが)、店内もなかなか高級な雰囲気が漂っています。何よりスープについてきたライムがちゃんとガーゼでくるまれています (絞ったとき種が落ちないように)。こういうお店は本当に久しぶり。ホンモスはきめ細かく口当たりがとてもマイルドで、ほうれん草の上にチーズをのせてオーブンで焼いたクークーも、こういう小技の効いた料理はヨルダン以来かも、などとちょっと嬉しくなってしまいました。

メインのチェロケバブは、普通のお肉とミンチにしたものが2種類。焼きすぎでケバブもコフタもパサパサのお店が多い中で、ここはちゃんとジューシーな焼き加減に仕上がっていました。定番料理をきちんとおいしく作っているのがいいですね。もう一度行きたくなりました。

ホンモス、クークー (ほうれん草のチーズ乗せ)、イラン風キノコスープ
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スルタン風チェロケバブ
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* * *

シラーズ再訪問。今度はメニューを吟味して、自分なりにイラン料理らしいもの (普段アラブ料理で見ないもの) を選んでみました。

? (ヒツジの脚の煮込み)
肉料理の中では煮込んだヒツジがかなり好きな方なので、これは本当においしかったです。味付けはシンプル。脂 (ゼラチン?) の部分はトロトロのプルプル、お肉もホロホロとくずれていきました。
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ホレシュト・サブジ (緑野菜のシチュー)
ディル (セリ科の1年草) を使ったシチュー。そら豆と仔ヒツジの肉が入っています。確かヒンディーでもサブジは野菜だったかな。インドといえばインドカレーのパラクパニールがわりと鮮やかな緑色なのに対し、こちらは黒ずんだ緑色。どこかほろ苦いようなオリーブのような味がしました。これがディルの風味なんでしょうか。乾燥レモンが入っていて、トマトの煮込みなどよりはるかにメリハリの効いた華やかな酸味がとても印象的です。アラブ料理で酸っぱいメインディッシュってあまり記憶にないので、これにはちょっと感動しました。いやはや、おいしかったです。
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ポルンベル (イラン風デザート)
お店で対応してくれたスタッフがフィリピン人だったので正確な発音はわかりませんが、生クリームにナッツと乾燥フルーツを混ぜて冷やし固めた、イラン風デザートです。砂糖はたぶん入っていませんが、なにしろ重たいクリームなので、ひと皿食べるのはけっこうしんどかったです。渋味が少なくまろやかなイラン紅茶と良くあいました。
ちなみにこのレストラン、メニューにはキャビアも3種類載っています。ベルーガで1万2000円の値段がついていましたが、はたして量はどれくらいなんでしょう。今度聞いてみようかな。ま、頼まないけど。
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レバノン料理@バールベック

アラビア半島の人々にとって、レバノン、シリア、ヨルダンは料理がおいしい国として認知されています。この3ヶ国の料理はおおよそ共通していて、チーズ、オリーブ、野菜、ヨーグルト、レモン、ゴマ、ハーブ類を使った前菜が充実しているのが特徴です。

いわゆるアラブ料理といえば、基本的にはレバノン料理のことをさしているように思います。サウジアラビアのホテルでアラビアンビュッフェを食べる時にどこの国の料理かたずねると、いつもレバノンだと言われますし。

そんなわけで、いつも漠然とアラブ料理だと思って食べているものではなく、レバノン料理、つまりレバノンにしかない料理を食べたいと思って、リヤドのオルーバロードにあるレストラン 「バールベック」 に行きました。

これまで何度もシェラトンやメリディアンなど高級ホテルで美味しいアラブ料理 (レバノン料理) を食べていますが、たとえばエジプトのハト料理やサウジアラビアのカブサのように、際だって特徴のあるレバノンオリジナルの料理にはお目にかかったことがありません。

実はバールベックにも特別なレバノン料理があるかどうか情報があって行ったわけではなく、ガイドブックにレバノン料理とわざわざ書いてあったことと古くからあるお店なので、もしかしたらと期待を抱いて行ったわけです。どちらかというとバールベックという名前だけで決めたところも。アラビア語以前の神話の匂いを感じさせる品の良い響きがグー。

瀟洒な外観を持つバールベックの店内はいたってシンプル。テーブルが少なく店員も二人だけだったのでいきなり不安になりましたが、案の定、メニューをもらって見てみるとそもそも料理がかなり少なめでした。前菜も15品くらいしかありませんし、メインディッシュも選ぶのに迷う必要がないほどオーソドックスなラインナップです。もちろんどれも食べたことがある料理ばかりでした。

アラブ料理、つまりレバノン料理は前菜が命です。この日はもともとメインディッシュには期待していなくて、何か珍しい前菜が食べられればいいなと思っていました。ヨルダンで食べた小鳥の丸揚げ、生クッベ、脳みそフライや、サウジで昔食べたヒツジの足首のスープのように、珍しくてしかも美味しいものを。

しばらく悩んだ末、結局頼んだものはレバノン風ソーセージ、シャンクリシュサラダ、ミックスグリルという平凡なものばかり。シャンクリシュはザアタル (直訳はタイムですがいくつか他のハーブを混ぜたものを言う時も) をまぶして保存するヤギのチーズです。

シャンクリシュ、オリーブオイル、トマト、タマネギを一緒に混ぜて食べると、酸味がかったチーズの風味とハーブの香りが渾然一体となって、複雑玄妙な味を楽しむことができます。ただ、この味は地中海料理とも共通していますね。きっとフェニキア商人がその昔地中海諸国にこの味を広めたんでしょう。あるいはいろいろな味を各国から持ち帰って、さらに昇華させたのかも。

レバノン料理はアラブ世界に広く浸透しているだけあって、逆に目新しさがなくなっていてその点はちょっと不利だなと思いますが、いつかもっといいお店を見つけてレバノン料理でしか味わえない味に出会ってみたいと思います。バールベックにはもうちょっと頑張ってほしい。ミックスグリルは冷めていた時点で評価に値せず。

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レバノン料理@ブルジュ・アルハマーム

オルーバロードのレバノン料理店バールベックと同じ並びにあるもうひとつのレバノン料理店が 「ブルジュ・アルハマーム」 です。アラビア語のメニューをもらうと (英語はない)、メインディッシュとしてグリル以外にもスペシャルメニューが書かれています。

迷った末にその中からヒツジのマハシを注文しました。マハシというくらいなのでご飯が肉に巻かれているのかなと思ったのですが、出てきたものは写真の通り、ご飯の上に煮込んだヒツジ肉がどっさりのっているものでした。量がすごい・・・。

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あまりピリッとこない、アラブ料理独特のもっさりしたスパイスが効いた味付けご飯と、トロトロに煮込まれたヒツジ肉、そしてコクのあるグレイビーソースが渾然一体となって、半分くらいは美味しく一気にいただきました。次第に味に飽きてきたところで、今度は一緒についてきたヨーグルトをドッサリかけて食べると、なんともサッパリしてさらに食が進みました。

味付けご飯にヨーグルトって相性抜群 (のような気がする)。吉牛とかにも合うかな (←適当)。味も良かったし、英語のメニューがあればもっと外人が来るかなと思いましたが、アラブ人で十分混んでいたので、まぁ、今のままでいいのかもしれません。

ちなみにブルジュ・アルハマーム (ブルジュルハマーム) は 「鳩の塔」 という意味 (ハマーム=鳩)。3枚目の写真のような、アラブ風の鳩の巣箱 (集合住宅) ですね。アカバにも同じ名前のレバノン料理店があったと思いますが、アラブ料理店ではわりと良くある名前です。

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モロッコ料理@マラケシュ

モロッコ料理は以前リヤドで食べた時に、やたらと薄い味付け (ほぼ塩気なし) にどれもミントが効いていて、その異次元の味に驚いてしまいその後まったく食べる気が起きなかったのですが、モロッコ料理は本来、レバノン料理やトルコ料理とともに、中東を代表する料理としてつとに有名です。

サウジアラビアに再赴任して、リヤドのキングファハドロードを走るたびに「マラケシュ (Marrakech)」 というレストランの大きなアラビア語の看板が目に入ってくるのでその存在はずっと気になっていたのですが、ようやく重い腰を上げて行ってみました。もちろん当時食べたのとは別のレストランです。

マラケシュの店内はやや薄暗く、アラブっぽい調度品や壁にかけられたアラベスク模様のタイルなどでシックに装飾されています。ビルのエレベーターで3階に行き、扉が開くと目の前にレストランの入り口が現れるということもあり、なんとなく隠れ家的な雰囲気がただよっています。外から遮断されているので、サラー (礼拝) タイムもあまり関係なさそうでした。

ハリーラ (豆のスープ)
トマトベースのもったりとしたスープ。ラム肉が少し入っています。スパイスはコリアンダーなどを使っているようですが、ハーブの香りはあまりしませんでした。良く言えばくせがなく誰でも食べられるやさしい味、悪く言えばパンチに欠ける感じ。好きな味ですが、少し塩コショウを入れて食べました。塩コショウ入れがタージンを模したかわいい陶器だったので、ぜひ使いたかったということもあって。
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クスクス (ラム肉が載ったもの)
『クスクスは、硬質小麦の一種であるデュラム小麦の粗挽粉に水を含ませ、調理後の大きさが1mm大の小さな粒になるように丸めてそぼろ状に調整したものである。語源はマグリブ・アラブ語の kuskusu であるが、これはベルベル語の seksu (「良く丸められたもの」という意味) が元になっている。米国では通常パスタの一種として認識されているが、日本を含め他の多くの国では米やコーン、豆などの穀粒と同じように扱われることが多い。飯状に炊いたり蒸したりしたものが肉料理や野菜スープと一緒に供され、これがクスクス料理である。マグリブ地域の主食。-Wikipedia』

ということで、おそらくモロッコ料理で一番有名なのがクスクスではないでしょうか。上の説明のようにクスクスはご飯とほぼ同義語なので、クスクスの上に何をかけるかによっていろいろなバリエーションができます。マラケシュレストランのメニューにもラム、チキン、野菜など何種類かありました。いろいろ迷った末にラムを選択。昔食べたクスクスよりはそれなりに味がついていておいしかったですが、シンプルというか素材の持ち味を活かすというか、やはりかなりの薄味。肉、野菜ともにごく少量の塩で茹でただけのようでした。ハーブもほとんど入れてなさそう。

正直、ラムはもうちょっと塩気がほしいと思いましたが、逆に茹で野菜 (キャベツ、ニンジン、ズッキーニ、カブ、カボチャもしくはサツマイモ) の方は野菜そのものの甘味が感じられて美味しかったです。この野菜の多さは嬉しい誤算でした。レバノン料理とは趣がガラリと異なりますね。ただ、クスクスはボソボソしがちな食べ物なので、おかずの方はもっとジューシーなものがいいと思いました。これはあらかじめ予想していて、もう一品そんな感じの品 (タージン) を頼みました。
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タージン (タジン鍋)
エジプト料理でいうターゲンと同じものです (エジプトではJ音をG音で発音する)。ただしモロッコの方は土鍋のフタも含めてタージンのようで、必ず三角にとがったフタをしてテーブルに運ばれ、客の目の前でフタが開けられます。フタを開けた時に料理がグツグツ煮立っている様は、本当に食欲をそそります。

今回はクスクスがラムなのでハムール (クエのような白身の高級魚) のタージンにしました。メニューにはラムのタージン8種、シーフードタージン2種、チキンタージン4種がありました。ハムールとトマトソースの相性は言うまでもなく最高で、やや酸味が強いソースにパプリカとオリーブの風味がマッチしていました。

大きめのニンジンとジャガイモはほくほくして甘味が強かったです。あまったソースはクスクスにかけていただきました。トマトソースで食べるクスクスは殊の外美味しく、これが 「世界最小のパスタ」 ということを思い出したりしました。
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リヤドのモロッコ料理レストラン、マラケシュ再訪。

バスティーラ (Bastilla/Pastilla)
ハトや鶏の肉をタマネギ、卵、アーモンドなどと一緒にワルカ (紙のように薄いパイ生地) で包んで焼いたパイ。粉砂糖とシナモンをふりかけて食べるものが有名だそうで、メニューにもハトのバスティーラの写真にはそんな感じの模様が写っていましたが、気分的にシーフードのバスティーラをチョイス。残念ながら見た目はのっぺらぼうの大きなおまんじゅうという感じでしたが、逆にどことなくユーモラスで、ナイフを入れるのが忍びなかったです。

ひとしきり眺めた後、エイヤッと真ん中にナイフを入れると、パリパリッという小気味よい音が小さく響きました。中にはエビとイカと春雨がぎっしり詰め込まれていて、切った途端濃厚なシーフードの香りがフワッと立ち上ってきました。このところ連日アラブ料理を食べていてやや食傷気味でしたが、この香りに俄然食欲が出てきました。見た目はもっさりしていますが、油っこいという感じもなくペロリと食べてしまいました。
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タージン (タジン鍋)
前回のハムール (白身魚) に続いて、この時はコフタ (ラムの肉団子) のタージンを食べました。トマトソースで煮込んだコフタはまた格別で、塩味も濃いめだったので一緒に出された白いご飯があっという間になくなっていきました。実はテーブルに運ばれてきてフタをとった瞬間はグツグツ煮えていたのですが、フタを元に戻してとりあえずバスティーラから食べていたら、すっかり湯気もなくなってしまいました。写真で見る限りいまいちおいしさが伝わらなくて残念です。
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マラケシュレストランには普通のグリルメニューもあってまだまだ楽しめそうですが、スープ、メイン、デザート、お茶を頼むと100リヤル (2600円) 以上になってしまいます。「ブハーリーライス10食分かぁ・・」 などとつい貧乏性が頭をもたげてくる自分が悲しくなってきました。モロッコで食べたらクスクスなんてもっと安いんでしょうけどね。

実はその昔カサブランカに旅行したことがあるのですが、料理の値段どころか何を食べたかすら忘れてしまいました。物乞いの女の子に 「チノ、アン・ディルハム (おい中国人、1ディルハムくれ)」 と言われたことは憶えているのですが。ガイドブックも持たず、どこに何を見に行ったのかもさっぱり。写真はどこかの路地。
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またまたマラケシュ、こんどはデザート。普段食べているアラブ料理でもクナーファやオムアリーなど美味しいデザートはいろいろありますが、リヤドのモロッコ料理レストラン 「マラケシュ」 で食べたあちら風のデザートを2品紹介します。

シェバキヤ (Shebakiya)
デザート盛り合わせの真ん中にある茶色いクネクネしたお菓子。アラビア語を忠実に発音するとシャバキーヤ。「網状の」 という意味の通りのクネクネした形です。ゴマの香ばしさとハチミツの濃厚な甘い香りに加え、爽やかな花の芳香が感じられました。柔らかめのかりんとうといった食感でかなり甘いのですが、香りが良いので 「これ何の匂いだっけ?」 と考えつつ食べていたらあっという間に3個なくなってしまいました。

しかしさすがにこのデザート盛り合わせはお店では食べきれず、シェバキヤの他に2、3個食べた他は包んでもらいテイクアウトしました。ナッツの粉を砂糖で練ったようなものが多く、甘かったですが渋茶と一緒においしくいただきました。甘い粉を固めたようなお菓子はアラブでは一般的ですが、ここのものはひと手間かけてそれを別の生地で包んでいるので、リヤドの極めて乾燥した状態でも中身のしっとり感が損なわれていませんでした。
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ムハンシャ (M'hansha/M'hanncha)
モロッコ方言でヘビの意味 (アラビア語では他にもサアバーン、ハイヤ、アフアー、ハナシュ)。形を見れば一目瞭然ですね。お店で食べた時は中身はココナッツかなと思いましたが、家に戻ってネットで調べてみたら、アーモンドの粉を砂糖や香辛料と一緒に練ったものだそうです。細長いヒモ状で外はパイ生地。蚊取り線香のように巻いて油で揚げた後、ハチミツにひたしてアーモンドをふりかければ出来上がり。これにもやはり花の香りが効いていました。

食感はネットリして重たいしかなり甘いのですが、アーモンドとハチミツと花の香りにつられて一気に半分まで食べてしまいました。結局そこでギブアップしましたが。
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ミントティー
アラブ料理屋ではよくミントティーを飲みますが、紅茶にミントの葉っぱが2、3枚入っているのが普通です。ところがこの店で飲んだものは緑茶がベースで、お茶の色も黄味がかっていました。ミントが主張しすぎず、とても穏やかな味。料理もそうですが、このひかえめな感じがいいですね。お茶を入れる時はできるだけ高い位置からカップに注ぐのがモロッコ流だそうです。この店の場合、カップを左手で持ち、右手のティーポットからお茶を注ぎ始めたら徐々にカップを下げつつポットの方は高く上げていき、最後は1メートルくらいの落差ができるくらいにして注いでくれました。泡だったところがおいしかったです。

補足フラワーウォーター
後日、気になってスーパーに行きまずローズウォーターを手に取ってクンクンしてみると、あの時嗅いだシェバキヤの匂いとはちょっと違う感じ (フタ越しなのでよくわからない)。隣にあったオレンジブロッサムウォーターと、せっかくなので初めて見た Kewra ウォーターと合わせて3本買ってきてあらためて匂いをくらべてみたところ、やはりシャバキヤの香りはオレンジだったろうという結論になりました。

一番安いの (どれも1本130円/レバノン製) を買ってきたせいかあまり上等な匂いはしませんが、寝る前に枕元にまいたりしました。ローズウォーターはアラブではおなじみ。日本でも薔薇ガムなんてのがありましたが、あの匂いです。オレンジブロッサムウォーターはその名の通りオレンジの実ではなく花の方の香り。Kewra (Pandanus) ウォーターは何日か前に食べたインド料理屋のデザートもこんな匂いでした。お香に少しフルーティーな酸味を加えた感じで、バンコクのお寺を思い出しました。

シリア料理@セット・アッシャーム

リヤドのタラーティーン通りにあるアラブ料理店 「セット・アッシャーム」 に行ってきました。セットはレディー、シャームは北アラブ諸国であるシリア地域の旧称。ということで、店名を訳せば 「シリアの貴婦人」 あるいは 「北国の女」。なんだか演歌みたいなので、やはり前者の方がいいですね。

店内の装飾品や家具はすべてシリアから輸入したものだそうです。店員もほとんどシリア人でした。ただしサービスのてこ入れかフィリピン人が要所要所に配置されています。やはり実際にサービスを受けてみると、アジア人のきめ細かさには感心させられます。

週末 (水木金) の夜はビュッフェで、この日もシリア料理がずらりと並んでいました。といってもいわゆるアラブ料理なので、特に目新しいものはありません。ただすべてがちょっとずつ平均点を上回っている感じで、素直に美味しかったです。残念ながら値段が180リヤル (4700円) とシェラトンホテルのレバニーズビュッフェより高いのですが、食材の内容は完全に負けているし、ここでしか食べられない目玉料理もありません。結局、値段の半分くらいはお店の雰囲気とサービス料なのかなと思いました。
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実際この日は自分1人なのに、4人用の個室に通されました。部屋の中がアラブの雰囲気満点なのはいいのですが、さすがに1人だと若干の空しさが。もっとも、店員が入れ替わり立ち替わり声をかけてくれてそれほど寂しさは感じませんでした。その代わりみんなどんどん料理を持ってきてくれるので (自分でも取ってきているのに)、本当にお腹がはち切れそうなほど食べてしまいまた。
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ぜひ他の部屋も見てと言われて、6人用と8人用の個室や大人数用のVIPルームも見てきました。料理はそこそこおいしいし、こんなムードたっぷりの部屋で食事できるなら4700円も高くないかな? (自分は一食の値段としては今までで最高額でした)。
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廊下がまたいいんです。部屋の扉から電灯まですべてシリア製で。入り口で出迎えてくれたシリア人スタッフのソフトな対応も二重丸でした。
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トルコ料理@アッサラヤ

リヤドにはたくさんトルコ料理屋がありますが、安くて美味しいの代表ならタラーティーン通りにある「アッサラヤ (Assaraya)」でしょう。まず、焼きたて熱々のパンが、香ばしくてモチモチしていて、とにかく美味しい。大人数で行くと超ロングなパンを焼いてくれるのもすごい。パンにホンモス (豆とゴマのペースト) をつけて食べるだけで限りなく満足してしまいます。
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ラムチョップ (+ミックスグリル) も、お店秘伝のタレに漬け込んでいると見ました。複雑玄妙な味わいに、オスマントルコの歴史と伝統を感じずにはおれません。チキンと野菜を鉢に入れてオーブンで焼いた料理も、アラビア半島のベドウィンには思いもつかない一品。ああ、思い出したらまたお腹が減ってきた。
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エジプト料理@フィシャーウィー

エジプト時代に否応なく食べていた「コシャリ」。いい思い出はありません。なのでサウジアラビアに再赴任して、別に探し求めていたわけではないのですが、エジプシャンレストラン「フィシャーウィー (Fishawi)」が自然と目に入ってしまい、ついついふらっと入店。実はエジプト以外の国で食べるエジプトの食べ物って美味しいことが多いので、その検証も兼ねて。

結論から言うと、所詮コシャリはコシャリだなと思ったものの、いや意外と美味しいのかもこれ、なんてことを思わずにはいられませんでした。ちゃんと作ればやっぱり美味しいんですね、なんでも。ハトのマハシ (ご飯詰め) も美味しかった (写真はご飯が見えるようひっくり返しています)。ちょっとボリューム多すぎましたが。
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健康志向のアラブ料理店

リヤドのリングロード・イースト、Exit10の近くにあるレストラン 「アウシャール (Awshal)」。道から見える瀟洒な外観がいつも気になっていたのですが、先日ようやく行ってきました。店の特徴はずばり 「健康志向」。脂の少ない肉とオリーブオイルやキャノーラ油を使いコレステロールや塩分を低く抑え、また、肉はその日の朝に仕込んだフレッシュなものしか使わないとのこと。とかくコッテリしがちなアラブ料理なので、これはうれしい配慮だし他店には見られない戦略です (それをちゃんとメニューにも記載しています)。

それからとにかくメニューが多彩です。基本はアラブ料理で、スープ、サラダ、冷たい前菜、暖かい前菜、メインディッシュのグリルも羊、鶏、シーフードとそれぞれ何種類もある上、パスタやインド料理、さらにステーキまであります。アラブ料理の方もモロッコ風クスクスやタージンがあったり、なんとも多国籍でバラエティーに富んだラインナップです。あれこれ目移りしましたが、この日は結局ハリーラスープ、タブーレサラダ、ミックスグリルを注文しました。我ながら平凡ですね。でも期待が持てそうな店だったので、逆に奇をてらわないものにしました。

スープは写真を見ても黄色いのがわかると思いますが、カレー風味というよりほとんどカレーでした。これとパンだけでも十分一食になるんじゃないかというくらいのボリュームです。先日行ったモロッコ料理店マラケシュのものとはだいぶ様相が異なりますが、野菜はたくさん入っているし、カレーのスパイスが効いていてなんだか健康になりそうな気がしました。

ちなみに自分は体調が悪い時、漢方薬のつもりでスパイスたっぷりのインドカレーを食べに行くことにしています。でも高級店は油たっぷりでむしろ気持ち悪くなるので (インド通の友人がカレーのうまさはスパイスの香りが移った油のうまさだと言っていましたが・・)、できるだけ安い大衆食堂でサッパリした (油をけちった) カレーを食べます。ま、それはさておき。

ミックスグリルは鶏と羊のカバブ (串焼き)、鶏と羊のコフタ (つくね)、若鶏のグリルの5種にポテトと野菜がついて50リヤル (1200円)。安くはありませんが量が多いので十分リーズナブルではないでしょうか。カバブは可もなく不可もなく。だいたいどこで食べてもおいしいですからね。でも、どちらかと言えば脂っこくなくてさっぱり。それでいてちゃんと柔らかくジューシーでした。

コフタは他の店より太めなのでフワッとした焼き上がりに。脂が少なく塩分もひかえめで、なるほど健康志向をうたうだけのことはあります。特に鶏のコフタがおいしいと思いました。若鶏は肉の量は少ないのですが、シコシコとして噛めば噛むほど旨味が口に広がるなかなかの出来映え。まったく臭みもなく、本当においしかったです。これだけの量を食べても食べ飽きたという感覚はありませんでした。お腹ははち切れそうでしたが。

ということで、アウシャールはもう一度行ってみたいと強く思えるお店でした。次はアラブ料理もさることながら、ぜひシーフードパスタやインドカレーにも挑戦してみたいです。なお、店名の意味はシャウル (水滴) の複数形 (涙という意味もあります)。乾燥した砂漠に住むアラブ人にとって、透明な水のしぶきはまさに甘露なんでしょう。